ストレスや不安、睡眠を自然に改善する方法として、呼吸にヒントがあります。
意識的に呼吸を使って緊張をコントロールし、副交感神経を働かせることで、リラックスし、より早く眠りにつくことができます。
副交感神経が優位な状態になると、心拍数と血圧が低下します。この状態は眠るために重要なステップです。
意識的な呼吸法は認知機能の改善にも効果的な方法の一つであり、集中力の向上、気分の改善などの幅広い効果があります。
1. 4-7-8 呼吸法
この呼吸法は、副交感神経を活性化し、気分を穏やかにしてくれます。朝一番や、ストレスを感じている時の就寝などに効果があります。
鼻から静かに4秒間息を吸い込み、7秒間息を肺にとどめ、その後8秒間息を吐き出します。この流れを4回繰り返して下さい。
2. 瞑想的な呼吸
瞑想的な呼吸法とは、仏教に由来する呼吸法で、ストレス、不安、抑うつを減らし、睡眠の質と量を高めるなどの健康上の利点があります。
寝る前の15~20分ほどの短い時間でも、一貫した呼吸法を実践することで、リラクゼーション効果が得られます。
・背中をまっすぐにして、頭をわずかに前方に傾けて、椅子や瞑想用のクッションなどに座ってください。
・呼吸に集中してください。息の出入りする鼻の穴の先端や、膨らんだりへこんだりする腹部に集中してみてください。
・自然に吸ったり吐いたりと呼吸してください。注意を集中的に呼吸に向けるのではなく、ただ呼吸を受け止めるような感覚です。
・吸って吐いてと呼吸を数えるようにしましょう。息を吐くたびに1から10まで数え、息を吸うときに10から1まで数えます。
・呼吸以外のことを思考した場合は、呼吸に意識を戻します。
3. 腹式呼吸
腹式呼吸は深く吸って吐く呼吸法です。心を落ち着かせ、不安やストレスを軽減し、睡眠の準備をするのに役立つテクニックです。喘息やCOPD(慢性閉塞性肺疾患)などの呼吸器疾患の症状の緩和にも有効であることが示されています。
・横になるか、座り心地の良い椅子に真っ直ぐな姿勢で座ります。
・目を閉じ、片手を胸の上に、もう片方の手をお腹の上に置きます。
・鼻からお腹に向かってゆっくりと深呼吸をします。お腹の上の手が呼吸とともに上昇し、下降するように胸の上で手を止めておきます。このプロセスの中で胸が少しだけ動いていることを確認して下さい。
・吸ったり吐いたりの時間を長くするために、息を吐き出すタイミングは深くリッラックスするようにしてください。
4. プラナヤマの呼吸
「ヤマ」は、長くする、コントロールするを意味し、「プラナ」は呼吸、エネルギー、生命力を意味し、丸花蜂の鼻歌のような呼吸とも呼ばれています。
このテクニックは、ストレスや不安に働きかけ、不眠症の症状を軽減するのに最適です。
ある研究では、この呼吸法を5分間行うと、被験者の心拍数と血圧が有意に低下することがわかりました。
・背筋を伸ばして正座し、目を閉じた状態で座ります。
・鼻から息を穏やかに吸い込んでみてください。
・口から息を吐きながら、喉で中高音の鼻歌のような音(Mmmmm)を出して、完全に息を吐ききります。
・首および頭蓋骨が共鳴することで発生する振動を感じとってください。
・これを6回繰り返します。
・効果をより強くするには、人差し指を耳の軟骨に押し当て、外耳道を塞いでみてください。鼻歌の音が増幅され、怒りや焦燥感、不安などの感情の乱れから心を引き離すのに効果的に作用します。
5. 片鼻呼吸(ナディショーダナ)
片鼻呼吸は2つある鼻孔を交互に使用します。ナディはサンスクリット語で「経路・流れ」を意味し、ショルダナは「浄化」を意味します。このテクニックは、自身のエネルギーのバランスを整え、深いリラクゼーションを実現するために使用されます。
ある研究では、20分この呼吸法を実践した人は、静かに座って通常の呼吸をした人と比較して、心拍数、収縮期血圧を有意に減少させ、問題解決能力を向上させることができたことがわかっています。
・背中を楽に真っ直ぐにして、目を閉じた状態で足を組んで座ります。
・左手を膝の真ん中に置きます。
・右手の親指を使って、右の鼻の穴を閉じます。左の鼻孔を使って、優しく完全に息を吸い込みます。
・小指と薬指で左の鼻孔を閉じ、右の鼻孔を開き、ゆっくりと優しく息を吐きます。
・左の鼻孔を閉じたまま、右の鼻孔からゆっくりと優しく息を吸います。
・左の鼻孔から息を吐き、親指で右の鼻孔を閉じます。
・このサイクルを5分間繰り返します。
通常は、吸って吐くのにそれぞれ5秒間かけます。さらに深くリラックスしたい場合は吸ったり吐いたりを10秒に長くしてみてください。
6. 等間隔呼吸 (サマ・ヴリッティ)
サマ・ヴリッティとして知られる等間隔呼吸は、吸う息と吐く息の長さを均等にする呼吸法です。このテクニックは、ストレスを軽減したり、睡眠に備えて心を落ち着かせたりするのに有効です。
・椅子に背筋を伸ばして楽に座るか、または、ベッドに横たわって下さい。
・目を閉じて、数回、呼吸時の息の流れを観察します。
・4秒間、鼻からゆっくりと吸い込む。
・4秒間、鼻からゆっくりと息を吐き始めます。
・10回この呼吸サイクルを続けてみてください。
より強い効果を得るために、吸い込む時間と吐き出す時間を6〜10秒に長くしてみてもいいです。
7. ブテイコ式呼吸
この方法は、体内の酸素と二酸化炭素のバランスを調整することで、呼吸量を最適化することを目的としており、呼吸の深さと頻度を下げます。
この呼吸法により、身体がより多くの二酸化炭素に耐えられるようになり、逆に体内の酸素吸収を助けます。ブテイコ式呼吸法の有効性に関する研究は少ないですが、研究では喘息を持つ人に効果的であることが示されています。
・口を静かに閉じた状態でベッドに横たわります。
・5回の呼吸をゆっくりと浅く鼻から呼吸することから始めます。
・親指と人差し指で鼻をつまむようにして、ゆっくりと鼻を閉じます。
・口と鼻を閉じたまま、ゆっくりと5回数えるように息を止めます。
・口を閉じたままで、深く、穏やかな息を吸って、再び鼻を通って1分間肺を空にし、5つカウントします。
・1分たったら、また同じことを繰り返し、これを6回繰り返す。
この呼吸法の重要なポイントは、鼻から息をすることです。鼻呼吸は、細胞への酸素供給を増やし、二酸化炭素と一酸化窒素の濃度を高め、心拍数と血圧を下げるのに役立ちます。ストレス、不安、パニックは過呼吸を伴うことが多いので、この方法は二酸化炭素レベルのバランスを整え、これらの症状を軽減するのに有効な方法です。
8. パップワース法
この方法は、ストレスや不安から一般的に生じる過呼吸をコントロールするのに役立ちます。呼吸器症状、呼吸機能障害、有害な精神的な病を緩和することが示されています。
・筋が立った椅子に座ったり、ベッドに横になったりします。
・鼻からリズミカルな深呼吸を3回続けて行います。
・ゆっくりと穏やかに吸入し、鼻から息を吐き、それぞれ4秒ずつカウントします。
・腹部の上昇と下降に注意を向けます。手を腹部に置いて、呼吸が横隔膜で行われていることを確認することもできます。
9. おわりに
これらの呼吸法を毎晩の就寝時に取り入れてみてください。眠りにつくまでの時間が大幅に短縮されることがあります。
それでも睡眠の問題に悩まされている場合は、医師に相談して、睡眠の問題を引き起こしている睡眠障害の原因を発見することを検討してみてください。
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