「カリフォルニア州民は間もなく、同州にあるアムステルダムスタイルの大麻カフェに行き、料理と大麻を堪能できるようになるかもしれない。」
アメリカのカリフォルニア州では現在、顧客が大麻販売店で大麻を消費することは認められていますが、大麻販売店がコーヒーや食品を提供し、顧客が店内で飲食をすることは認められていません。
そのような状況の中、カリフォルニア州の大麻販売業者が、飲食サービスを運営し、店舗でイベントを主催することを可能とする法案が、同州知事であるギャビン・ニューサム氏に提出されました。
9月11日の議会で提出された議会法案374は、最終的な投票では「66対9」と、議会で広く承認されたとロサンゼルス・タイムズ紙が報じました。
ギャビン・ニューサム氏がこの法案に署名をすれば、2024年1月1日より、カリフォルニア州では主に以下の3つの項目が可能となります。
・調理済みの食品や飲料を提供することができる
・音楽イベントを主催できる
・大麻製品や器具の店頭販売以外のサービスで商品化を図れる
続いて以下の項目は、この法案による5つの禁止/制限事項です。
・大麻カフェでのアルコールの提供を禁止
・コーヒーショップでの大麻の販売を禁止
・大麻カフェでのタバコの喫煙が禁止
・大麻小売店は引き続き、地元の管轄区域のルールに従う必要がある
・大麻販売が禁止されている場所では営業できない
この法案を起草した国会議員のマット・ヘイニー氏は、
「多くの人が友人などと、外出先で合法的に大麻を楽しみたいと考えている」と声明で述べました。
上記に続けてヘイニー氏は、
「経済、健康、安全の観点から、国家がそれを違法にする正当な理由は全くありません。認可された大麻販売店がコーヒーとサンドイッチも販売したい場合は、カリフォルニア州内の市が販売を許可し、大麻業界の中小企業を後押しすべき」と語っています。
ヘイニー氏によるとこの法案の目的は、医療用大麻のみの文化を、オランダの大麻カフェに似た、よりリラックスした社交的な文化 / 環境に変えることです。
カリフォルニア州のウエストハリウッド市では、先立って2018年より、ライセンス数を限定して独自の大麻ラウンジプログラムを開始しています。
しかし、「大麻ラウンジではその場で食事を提供することが許可されていないため、現在の規制が大麻カフェのようなラウンジビジネスを妨げている」とヘイリー氏は述べました。
8月に発表された、アメリカの世論調査企業の「ギャラップ年次消費習慣調査」によると、現在アメリカ人の半数が大麻を試したことがあるとの結果が出ており、大麻カフェのようなラウンジビジネスはやはり需要が高いのかもしれません。
一方、この法案の反対派は、この法案はカリフォルニア州の禁煙法に反すると、可決後の非喫煙者に対しての健康被害を指摘しています。
非営利団体である米国癌協会癌活動ネットワークの立法部長、オータム・オグデン・スミス氏は、この法案は「カリフォルニア州民が煙のない綺麗な空気を吸う権利を守り、公衆衛生を保つための長年の努力を台無しにする」と主張しました。
事実、この法案のビジネスモデルともなったオランダでは近年、大麻使用による観光客の迷惑行為、薬物犯罪が問題視されているのです。
オランダの首都に多数あるコーヒーショップのうち100店舗以上は、観光客のニーズにしか応えていないことが示唆されています。
アムステルダム市のフェムケ・ハルセマ市長は、大麻ツーリズムは薬物犯罪を助長し、治安を悪化させる元凶とし、大麻カフェに外国人観光客が入店できないようにするよう議会に支援を求めてきました。
2023年5月にオランダで発効した新しい政策により、現在では屋外の公共スペースで大麻を吸った観光客や住民は100ユーロ(約15,000円)の罰金を科せられます。
このような「オーバーツーリズム」による地元住民への悪影響は明確となっており、住民や地域に与える影響を緩和するために、市側はより一層、対策を強化しているようです。
近年、様々な国で嗜好用大麻の合法化が進む中、約40年間にあたり大麻観光産業をリードしてきたオランダの今後の動向は、世界中の注目の的と言えるでしょう。
近い将来、カリフォルニア州の大麻カフェに観光に行ける日が来たら、地域のルールに則って、1人1人がエチケットやマナーを心がけることが大切です。
出典①:Cannabis cafes, Amsterdam-style, await Newsom's approval.It's a culture shift, lawmaker says|Los Angeles Times
出典②:California bill that would allow for cannabis cafes heads to desk of Gov. Gavin Newsom|USA TODAY
出典③:California lawmakers send cannabis cafe bill to governor for signature|MJBiz
出典④:Le projet de loi californien visant à légaliser les « coffeeshops » n’attend plus que la signature du gouverneur|NEWS WEED
出典⑤:アムステルダム、「大麻観光客」のコーヒーショップへの出入り禁止を検討|tokyo mooon
出典⑥:As Amsterdam bows out, what will be the new capital of cannabis tourism?|National Geographic
出典⑦:アムステルダム売春街、大麻の路上使用禁止へ 観光客の迷惑行為絶えず|Forbes Japan