「THC」と「CBD」は、どちらも大麻草に含まれる成分です。両者の化学式は同じですが、原子の立体的な配置は異なっています。これによって、摂取した際の効果も異なってきます。
劇的な精神活性作用があるTHCは、日本を含む多くの国で規制対象になっています。ただし、身体への良い効果も確認されており、医療大麻として使用を認めている国や地域もあります。
一方で、CBDはTHCのような効果はもたらさず、日本でも規制対象にはなっていません。また、CBDは心身にさまざまな良い効果をもたらし、疾病の症状を緩和するなどの働きも確認されています。
では、THCとCBDの違いについて詳しく見ていきましょう。
また、CBD原料に関する詳しい情報をお探しの方は下記よりご覧ください。
1. THCとCBDの効果・効能
THCとCBDは、どちらも、エンドカンナビノイドシステム (ECS)という生体の調節機能に作用します。
ECSは人間の身体に備わっている身体調節機能で、免疫、感情、運動機能など、多くの身体機能に影響を与えています。
ECSについてはこちらの記事で詳しく解説しておりますので、興味のある方は是非ご覧ください。
ECSは内因性カンナビノイドと、「CB1」「CB2」などのカンナビノイド受容体などから構成され、内因性カンナビノイドが受容体と相互作用することで身体の調節機能を担っています。
CBDとTHCは、内因性カンナビノイドのように受容体に作用することで身体に影響を与えていますが、その方法や作用には違いがあります。
THCの精神活性作用
ECSは通常、生体内の内因性カンナビノイドが、カンナビノイド受容体に結合することで引き起こされます。
THCはカンナビノイド受容体であるCB1、CB2の両方と直接結合し、神経伝達を刺激、促進します。
また、THCは、脳神経に広く分布しているCB1に対してより高い親和性をもつ傾向があるので、THCは精神に強い影響を与えます。
それによって、視覚や聴覚、味覚などが鮮明に感じられるようになったり、気分が高揚したり、欲求が高まったりします。(いわゆる、マリファナによる「ハイ」の状態)
さらにTHCは、末梢神経や免疫細胞、内臓組織などに分布するCB2とも相互作用し、鎮痛、沈静、催眠、食欲増進、抗がんなどの効果をもたらすとも言われています。
そのため、カナダやアメリカなどでは、医療大麻として使用が認められています。ただし、これは医療目的としての扱いであり、嗜好品としてマリファナを吸うこととは意味合いが異なります。(現在の日本では医療大麻は認可されていませんのでご注意ください。)
THCは多くの国で違法であるため、悪者扱いされがちですが、THCを活用した薬の開発は進んでおり、すでに製剤化したマリノール(合成THCを利用)のような医薬品も誕生しています。ちなみにマリノールは、がん治療中に起こる吐き気を解消する医薬品として2004年より流通しています。
CBDによる心身の健康の維持作用
THCとは異なり、CBDは内因性カンナビノイドを活性化することで、間接的にECSに作用します。
THCは精神に強い活性をもたらしますが、CBDによって得られるのはリラックス効果です。
日々のストレス解消にもCBDは効果的ですが、うつや不安、パニック障害などのより大きな精神面の問題にも、CBDは有効であるとされています。
そのほか、神経変性疾患や高血圧、動脈硬化、関節炎・リウマチ、アトピー性皮膚炎、がんなどのさまざまな病気の症状への効果も実証または示唆されています。
CBDの効果効能に関してさらに詳しく知りたいという方は以下の記事もチェックしてみてください。
【医学的成果】CBDの効果効能に関しての興味深い研究👩🏻🔬
THC | CBD |
ストレスやうつの軽減 、 食欲増進 、 鎮痛作用 、神経保護作用 、 抗炎症作用 |
抗炎症作用、鎮痛作用、抗菌作用、 鎮静作用 、睡眠の質の向上、精神の安定 |
精神活性作用あり | 精神活性作用なし |
覚醒作用 | 鎮静作用 |
このように、CBDもTHCもECSを介して心身に影響を与えることは共通しています。大きく異なるのは、強い精神活性作用の有無です。
つまり、誤解を恐れずに言うと「ハイになるのがTHC、ならないのがCBD」ということです。
2. CBDとTHCの副作用
CBDやTHCを摂取した際に、副作用はあるのでしょうか?
実は、両者とも副作用が確認されています。しかし、その症状や程度は、大きく異なります。
THCの副作用
THCには依存性が確認されており、その程度はカフェインと同等という説もあります。
しかし、マリファナの常習者が摂取を中断した場合に強い禁断症状が出ることも確認されており、決して軽視することはできません。
また、THCの継続的な摂取は、脳や精神に影響を与え、その結果、統合失調症に近い症状が発症することもあります。
さらに、記憶障害、不安感、妄想症、喉の乾き、目の充血、問題解決能力の低下、心拍数の増加や運動機能の障害が起こることもあります。
CBDの副作用
一方で、CBDの副作用としては、高用量の摂取によりめまい、吐き気、下痢、食欲不振などが報告されています。
しかし、THCのように精神や脳機能に重篤な障害をもたらすわけではなく、心身への悪影響はわずかだと言われています。
ただし、CBDの副作用の出方には体質によって個人差があり、持病や体調によっても異なる可能性があります。
用法・用量を守った上で、自分に合った摂取方法を見つけていきましょう。
3. CBDとTHCを一緒に摂取することのメリット
ここまでで、CBDやTHCの効果や副作用について解説してきました。しかし、麻には100を超える種類のカンナビノイドやテルペンが含まれています。
カンナビノイドを摂取する際には、単体で抽出されたものばかりではなく、複数の成分が混合しているものを使う場合もあります。
そのため、CBDとTHCの影響について考えるうえでは、それらを一緒に摂取した場合の心身への影響も知っておく必要があります。
カンナビノイドは複数摂取した方が効果は増大する
カンナビノイドの大きな特徴として、アントラージュ効果というものがあります。
これは、一種類のカンナビノイドを摂取するより、他のカンナビノイドやテルペンを複数摂取することにより、相乗的な効果が得られるというものです。
例えば、CBD単体を徐々に量を増やしながら摂取していった場合、ある程度の量までは効果は増大していきますが、ある量を境にその効果は逓減していきます。
しかし、他のカンナビノイドやテルペンと組み合わせた場合、効果は逓減することなく、増大し続けます。これがアントラージュ効果です。
アントラージュ効果についても当サイトで解説しておりますので、よかったら読んでみてください。
CBDはTHCの副作用を相殺する
特に、CBDとTHCを同時摂取した場合には、THCがCBDの作用を増強させることや、CBDがTHCの副作用を相殺する可能性があることが示されています。
日本ではTHCが含有された製品を使用することはできませんが、THCフリーのCBD製品が広まりつつあり、注目を集めています。
身体の不調をはじめ、健康や美容にも期待できる効果が多くあるといわれているため、気になる症状がある方は改善を実感できるかもしれません。
4. CBDとTHCに関する法律
日本ではTHCが違法でCBDは合法
日本では大麻取締法によって大麻は厳密に規制されており、THCは所持しているだけで違法となってしまいます。
一方で、CBDについてはその限りではありません。
先ほども説明した通り、CBDには強い精神活性作用がないため、規制対象となっていないのです。
また、日本では麻という植物が衣類、神具など、さまざまなことに利用されてきた歴史があります。
そのため、全ての麻製品を規制するわけにはいかず、大麻草でもTHCの含有量が限りなく少ないとされる成熟した茎や種子は、法律上の大麻の分類から外しています。
したがって、成熟した茎や種子から抽出し、混合物としてTHCが検出されないCBDは、決して違法なものではなく、安心して使用することができます。
CBDって日本で合法なの?違法なの?CBDを取り巻く法規制【最新版】
CBD製品を購入する際の注意点
先に述べた通り、日本ではCBDは完全に合法ですが、実際にCBD製品を購入したり使用したりする際には、注意しておくべきポイントもあります。
それは、「その製品が本当にTHCフリーかどうか」です。
現在、CBDオイルなどは、国内で製造販売されているものは少なく、多くは海外から輸入されてきたものです。
そして、海外では成分に対する規制のされ方も日本とは少し異なる場合があります。
例えば、アメリカではTHCの含有率が0.3%以下のCBD製品は合法ですが、日本の法律では違法です。
輸入の際に、販売代理店が日本の法律に抵触しないCBD製品を厳選し、税関でも検査が行われているとはいえ、THCが含まれるCBD製品がまったく流通していないとは限りません。
過去にも、製品からTHCが検出されたケースがあります。
ラベルの成分表や「THCフリー」の表記があるかを確認するのはもちろん、品質検査結果が公表されているかや、口コミや評判といった情報もウェブサイトなどでチェックするようにしてみてください。
5. おまけ:THCは複数種類存在する!?
⊿9THC(デルタ9)という風にTHCに⊿9という接頭語がついた形で耳にすることはないでしょうか?
デルタ9って何?と思った方も多いでしょう。そこで、最後におまけ的にTHCは厳密にいうと複数種類のTHCに分解できることを記載しておこうと思います。
大麻が解禁された国は数多く存在するが、その代表的な解禁国アメリカでは、いまデルタ9THC、デルタ8THC、デルタ10THCが注目を集めています。
高校化学で異性体という概念について習ったことを覚えている方も多いと思います。化学式的にはどのTHCも同じですが、立体的に見ると異なる構造をしているのが、異性体です。デルタ9やデルタ8、デルタ10というのはまさにTHCの異性体なのです。
デルタ8-THC
デルタ8THCは、ヘンプ由来であることが多く、そのため、アメリカの多くの州で違法ではないため、医療用大麻、嗜好用大麻が合法でない州においても合法的に購入することができます。
ちなみに、日本においては、THCの異性体はすべて違法成分ですので、お気をつけください。
デルタ8-THCはCBDと似たような効果効能があることが最新の研究成果からは報告されています。デルタ8-THCはインディカ種の大麻を摂取した際の効果に類似した効果があると言われています。
また、デルタ9-THCが皆さんがよく耳にするTHCのことなのですが、デルタ9に比べると精神活性作用が約半分くらいと言われており、デルタ9のデメリットが取り除かれたTHCという認識を持って頂けるといいかもしれません。
さらに、デルタ9-THCに比べると、酸化してCBNに化学変化することもないと言われています。
デルタ9-THC
この記事で紹介したTHCの効果効能、副作用はすべてデルタ9にまつわるものです、いまTHCと呼ばれている化合物は、一般的にはデルタ9-THCのことを指します。
デルタ10-THC
デルタ10-THCもデルタ8と同じく、ヘンプから抽出されます。デルタ8がインディカ種の大麻と類似した効果効能をもっているのに対して、デルタ10はサティバ種に近い効果効能があると言われています。
デルタ10もデルタ8と同じく、デルタ9-THCに見られるような副作用は少ないと報告されています。
デルタ10-THCの主な作用は気分の高揚にあると言われており、デルタ9-THCにある幸福感が強く感じられるとのことです。
6. tokyo mooon CBD商品のご紹介
tokyo mooonでは、大麻が一般的な植物と同等に扱われる「大麻のノーマライゼーション」を目指し、各種CBD商品を展開致しております!
主な商品としては、
・CBDべイプ
・CBDオイル
・CBDウォーター
・CBDグミ
がございます。
カンナビノイドの原料屋さんとして、原料へのこだわりは勿論、海外の研究事例などを参考に開発した商品などを取り揃えております。
是非この機会にお買い求め下さい!
7. 大麻観光事業のご紹介
tokyo mooonを運営するOFF Inc.は2023年の7月にオレゴン州に現地法人を設立し、大麻観光事業を開始しました。CBDの原材料であるヘンプを栽培しているファームなどに皆さんをご案内し、グローバル基準で大麻について学んでいただける機会を提供しています。
ご興味のある方は、詳細を以下ページよりご覧ください。