「THC」と「CBD」は、どちらも大麻草に含まれる成分で、摂取時の作用が異なります。
精神活性作用があるTHCは、日本を含む多くの国で規制対象になっていますが、医療大麻または嗜好用大麻として使用を認めている国や地域もあります。
THCとCBDの違いについて詳しく見ていきます。また、CBD原料に関する詳しい情報をお探しの方は下記よりご覧ください。
1. THCとは何か
THCとはテトラヒドロカンナビノール(tetrahydrocannabinol)の略称でヘンプに含まれる成分(カンナビノイド)の一種です。
多幸感を覚えるなどの作用があり日本では麻薬として認定され、麻薬および向精神薬取締法で所持や使用が規制されています。
THCにΔという接頭語がついた形で目にすることがあります。化学式ではどのTHCも同じですが、立体的に見ると異なる構造をしているのが異性体です。デルタ9やデルタ8、デルタ10というのはTHCの異性体で、日本においてはすべて違法成分です。
Δ9-THC
この記事で紹介するTHCの効果効能、副作用はすべてΔ9-THCに関するものです。THCと呼ばれている化合物は、一般的にはΔ9-THCのことを指します。医薬品として使用する場合は化学合成で製造されることがあります。厚生労働省がヘンプ由来成分(CBD等)を使った商品を作る際の残留限度値を油脂及び粉末、水溶液、その他という3つのカテゴリー毎に定めています。
Δ8-THC
日本では商品から検出されると違法になります。アメリカではΔ9-THCとは異なる規制を設けており合法な州もあります。Δ8-THCはCBDと似たような機能性、またインディカ種の大麻を摂取した際と類似した機能性があると言われています。Δ9に比べると精神活性作用が約半分くらいと言われており、酸化してCBNに化学変化することもないと言われています。
Δ10-THC
Δ10-THCはサティバ種に近い機能性があると言われており、Δ9-THCに見られるような副作用は少ないと報告されています。
THCA
テトラヒドロカンナビノール酸のことで加熱または脱炭酸することでTHCが生成されます。大麻草の中に含まれているため、多くの場合は製造工程でTHCに変換され、取り除かれます。
CBD(カンナビジオール)原料を、天然のヘンプから製造する際は、THCが含有しないように精密な製造工程を経て、0.1-10ppm程度になるように取り除きます。
2. THCとCBDの機能性
神経伝達物質を受け取る受容体が分布しており、免疫、感情、運動機能などをコントロールしています。この身体調節機能をエンドカンナビノイドシステム (ECS)と言います。
ECSについてはこちらの記事で詳しく解説しております。

CBDとTHCが作用する受容体は、「CB1受容体」「CB2受容体」と言われています。
THCは脳や中枢神経に広く分布しているCB1受容体に高い親和性をもつ傾向があるため、T視覚や聴覚、味覚などが鮮明に感じられるようになったり、気分が高揚したりします。(いわゆる、マリファナによる「ハイ」の状態)
さらにTHCは、末梢神経や免疫細胞、内臓組織などに分布するCB2とも相互作用し、鎮痛、沈静、催眠、食欲増進、抗がんなどの効果をもたらすとも言われています。
カナダやアメリカなどでは、医療大麻として使用が認められています。THCは多くの国で違法ですが、THCを活用した薬の開発は進んでおり、マリノール(合成THCを利用)は、がん治療中に起こる吐き気を解消するとして2004年より流通しています。
CBDはCB1、CB2の両方に作用しますが精神活性作用はありません。日々のストレス解消、うつや不安、パニック障害などの精神面の不調にCBDは有効であるとされています。
そのほか、神経変性疾患や高血圧、動脈硬化、関節炎・リウマチ、アトピー性皮膚炎、がんなどのさまざまな病気の症状への効果も実証または示唆されています。
THC | CBD |
ストレスやうつの軽減 、 食欲増進 、 鎮痛作用 、神経保護作用 、 抗炎症作用 |
抗炎症作用、鎮痛作用、抗菌作用、 鎮静作用 、睡眠の質の向上、精神の安定 |
精神活性作用あり | 精神活性作用なし |
覚醒作用 | 鎮静作用 |
このように、CBDもTHCもECSを介して心身に影響を与えることは共通しています。大きく異なるのは、強い精神活性作用の有無です。
3. THCとCBDの副作用

CBDやTHCを摂取した際、両者とも副作用が確認されています。しかし、その症状や程度は、大きく異なります。
THCの副作用
THCには依存性が確認されており、摂取を中断した場合に禁断症状が出ることも確認されておりいます。THCの継続的な摂取は、脳や精神に影響を与え、その結果、統合失調症に近い症状が発症することもあります。
さらに、記憶障害、不安感、妄想症、喉の乾き、目の充血、問題解決能力の低下、心拍数の増加や運動機能の障害が起こることもあります。
CBDの副作用
一方で、CBDの副作用としては、高用量の摂取によりめまい、吐き気、下痢、食欲不振などが報告されています。しかし、THCのように精神や脳機能に重篤な障害をもたらすわけではなく、心身への悪影響はわずかだと言われています。
ただし、CBDの副作用の出方には体質によって個人差があり、持病や体調によっても異なる可能性があります。
4. CBDとTHCを同時摂取するメリット

麻には100を超える種類のカンナビノイドやテルペンが含まれていますが、一種類を摂取するより、他の成分と同時摂取する方が天然の大麻草と成分構成が近く、相乗効果が得られます。
CBD単体を徐々に量を増やしながら摂取していった場合、ある量を境にその効果は逓減していきますが、他のカンナビノイドやテルペンと組み合わせた場合、効果は逓減することなく増大し続けます。これをアントラージュ効果と呼んでいます。
特にCBDとTHCを同時摂取した場合には、THCがCBDの作用を増強させることや、CBDがTHCの副作用を相殺する可能性があることが示されています。
そのため、THCが合法な国ではCBDと組み合わせて使用することが多いです。
5. CBDとTHCの法規制・合法性

日本では麻薬および向精神薬取締法、大麻の栽培の規制に関する法律によって大麻由来成分は規制されています。しかし麻は衣類、神具などに利用されてきた歴史があり、全ての麻製品が規制されている訳ではありません。
国が政令で定めたTHCの残留限度値を下回る商品、また成熟した茎や種子は、法律上規制のあるの麻薬としての大麻の分類から外れています。
日本ではCBD製品は合法ですが購入したり使用したりする際に注意しておくべきポイントは、ハンドキャリーでの持ち込みではなく、正規の輸入手続を経た商品かどうかです。
販売代理店が商品や原料を輸入する際は、税関でも検査が行われるため、正規の輸入手続を経ていれば基本的には合法になります。製品からTHCが検出されたケースもあるため、注意が必要です。
ラベルの成分表を確認するのはもちろん、成分検査の結果が公表されているかや、口コミや評判といった情報もウェブサイトなどでチェックするようにしてみてください。
6. CBD・CBN原料のご紹介
弊社では、CBN、CBD、CBG、水溶性をはじめとするカンナビノイド原料・テルペンの卸売りや、これらのカンナビノイドを用いた食品や化粧品ブランド開発のOEMサポートを行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。