水溶性CBDは通常のCBDよりも生体吸収率が高く、即効性があると言われています。
先行研究(論文)を元に解説していきます。以下は専門用語の解説です。
・Tmax:最高血中濃度到達までの時間
・Cmax:最高血中濃度
・AUC:血中濃度-時間曲線下面積(添え字を用いてAUCの時間範囲を表記)
1. 昭和大学での動物実験
CBD-NE(ナノエマルジョン・粒子径は35.3 ± 11.8 nm) とCBDオイルを使用。通常のラット(n=4)と胆汁分泌を止める手術を受けたラット(n=5)にCBDオイル100mg/kgとCBD-NE 50mg/kgを経口投与し、投与後に血液を大腿動脈から複数回採取し、LC-MS/MSで分析しています。
①通常のラットにCBDオイルとCBD-NEを投与した結果
・Tmax:CBD-NEは3倍に短縮(8時間から2.4時間)
・AUC/dose:CBD-NEは1.65倍に増加(0.272から0.448 h L/kg)
CBD-NE(ナノエマルジョン)を投与することで吸収速度や吸収率が向上することがわかりました。
②手術済(胆汁分泌の無い)ラットにCBDオイルを投与した結果
・Cmax:通常のラットと比較して23倍に減少
・AUC/dose:通常のラットと比較して27倍に減少
③手術済(胆汁分泌の無い)ラットにCBD-NEを投与した結果
・通常のラットへの投与と比較して、全ての薬物動態パラメータは有意差がなかった
CBDオイルの吸収が胆汁を介したミセル形成(すなわち可溶化)に依存していること、一方でCBD-NE(ナノエマルジョン)はミセル形成を必要とせずに効率的に吸収されたことを示唆しています。
出典:Development of a Novel Nanoemulsion Formulation to Improve Intestinal Absorption of Cannabidiol
2. スイスの製薬会社でのヒト試験
絶食状態の健康なボランティア16名を対象に、ランダム化二重盲検クロスオーバー設計で自社製品(SEDDS-CBD)の薬物動態プロファイルを評価することを目的にSEDDS-CBDと中鎖脂肪酸トリグリセリドで希釈したMCT-CBDを比較しました。CBDの投与量は25 mg、GMP条件に準拠して製造したハードカプセルを使用しました。
SEDDS-CBDはMCT-CBDよりCmax が4.4倍、AUC0–8h /AUC0–24hが、それぞれ2.85/1.70倍高くなりました。Tmax はSEDDS-CBD(1.0時間)の方がMCT-CBD(3.0時間)よりも短くなっています。いずれの投与後も安全性に関する懸念は認められませんでした。