近年、健康志向の高まりに伴い、ノンアル飲料市場は拡大を続けています。
そんな中、従来のアルコール飲料に代わる新たな選択肢として、アルコール代替としてのCBD・THCドリンクが世界的に流行り始めています。
ノンアルコール市場の現状と今後の動向を分析し、アルコール代替市場の可能性について考察していきます。
1. ノンアル市場の動向
各社がノンアルコール・低アルコール飲料の開発・販売を進めています。
サントリーやキリンの調査によると、ノンアルコール飲料市場は伸長を続けており過去最大規模になっています。2014年〜2024年の10年間で約1.5倍にノンアル市場が成長しています。

1-1. これまでの動向:よく飲む人を対象
ビールテイスト飲料が75%以上の割合を占めます。主にノンアル市場を牽引するのはノンアルコールビールです。DRY ZERO、グリーンズフリー、オールフリーなどが主な商品です。
これまでは、お酒をよく飲む人、自宅での飲酒習慣のある年配層をターゲットに「休肝日」「低カロリー」というキーワードなども目立たせた健康増進を目的とした商品が販売されてきました。
機能性表示食品として「内臓脂肪を減らす」等のヘルスクレームを掲載する商品なども出てきています。

味はビールの再現性を追求、アルコールらしい風味を実現するための特許出願が大手飲料メーカーで行われてきました。
最近ではハイネケンやバドワイザーなどの輸入製品、Ciraffitiや正気のサタンなどのノンアルのクラフトビールなども出てきています。
ノンアルコール飲料の飲用頻度・量が増えた理由は「味が美味しくなった」「種類の増加」「健康」がことが理由に挙げられるそうです。
1-2. 最近の動向:飲む人も飲まない人も対象
「飲む人の健康目的」のノンアルではなく、飲まない人も共存して交流の場を楽しむことができるような、新しい食文化の普及が進んでいます。
お酒をよく飲む人だけでなく、お酒が好きだが弱い人、飲めない人もターゲットにし、好きなアルコール度数やビールに限らない様々な味を選択できるようになってきています。

アサヒビールは「スマート・ドリンキング」という新しい概念を打ち出しており、これはこれまでの「ノンアル」とは違った意味合いであることがわかります。

アサヒビールの推計では、20代〜70代の約9000万人を対象とした場合、過半数の約5000万人(約55%)が「飲まない」人、約2000万人(22%)が日常的に飲む人とすると、飲む人向けにしか商売できていなかったことに気づいたそうです。
アサヒと電通が共同で仕掛けるスマドリバーという店舗では、ノンアルや微アルなどアルコール量を選択して飲むことができます。
「飲まない人」をターゲットにし、ノンアル飲料はビールの味に限らないため、味の多様化が進んでいます。
1-3. 市場拡大における課題
ノンアル市場はビールを中心にアルコール飲料の味の再現性を高める動きから始まりました。最近では飲む人だけでなく、あまり飲まない人も対象にした商品開発、味やデザインの多様化などの嗜好性の追求が進んでいます。
しかし、市場拡大における課題もあります。

アルコールを全く飲まない・飲めない人は、ノンアルではなく別のリラックス手段(サウナ・タバコ・ゲーム等)を選択する人もいます。
ノンアルにリラックス感(酔い)を期待しておらず、お酒っぽい味も好きではないので「お茶やジュースで十分でないか?」という結論になる人が多い気がします。
最近では味の多様化が進んでおり、飲まない人にも好まれる味になってきています。

しかし、アルコール「0%」ではリラックス感がないので、雰囲気を楽しむだけで、わざわざ店に足を運んだり商品を購入したりしないという感想が多いです。
2. アルコール代替品の登場
次のトレンドとして、アルコール代替品市場が盛り上がっていくと予想しています。
2-1. アルコール代替品とは
アルコールのようにリラックス効果のある代替成分を使用した商品のことです。
アルコールに限らない、自分の体質にあった成分を選ぶことで、より健康的にリラックス感を楽しむことができます。
例えば、以下のアルコール代替成分が注目されています。
・アルコール
・カフェイン
・カンナビノイド(CBD、THC、CBN)
・GABA
・テアニン
・テルペン
・キノコ(ライオンズメイン、チャガ、霊芝)
国内では米国発のmomentやVYBESなど、心を整えるキノコ成分を配合したマインドフルネスドリンクが輸入販売され始めています。
現在はノンアルというよりは「リラクゼーションドリンク」として認知されている分野で、コカコーラのChilloutなども代表的な製品です。
ノンアルとは異なる新しい飲料のカテゴリで、高単価な商品が多いです。
特にその中でも使用した時のリラックス感が強い、CBD・CBN・THCなどの麻由来の原料が非常に注目されています。
2-2. 海外で盛り上がるCBD・THCドリンク
飲酒量を減らす人が増えるにつれ、ノンアル飲料に関心を向ける人が増えています。NC Solutionの調査では、アメリカ人の58%がノンアルコール飲料を試してみたいと回答しています。
特にTHCやCBD入り飲料は注目を集めており、アメリカ人の4人に1人(26%)以上が試してみたいと回答しており、Z世代では38%、ミレニアル世代の37%になります。
ビール「バドワイザー」を製造するアンハイザー・ブッシュ・インベブは、カナダの医療用大麻会社ティルレイとの研究開発提携を通じ、大麻入りノンアルコール飲料の研究を共同で行うと2018年時点で発表しています。社交的な場で翌日二日酔いにならずに楽しめる手段になる、アルコールの代替品として普及する可能性を見越しての動きと見えます。
COMMONSは、Nootropic、Mental Perforamance、Recovery、Immunityをコンセプトに、CBDやライオンズメイン、チャガなどのキノコから取れる成分を配合したブランドで、Brewdogの元CEOのジェームズワット氏が出資しています。
BREZはAlcohol Alternative Drinksとして販売しており、Microdosed cannabis & mushrooms in a canをコンセプトにCBD、THC、ライオンズメインを配合しています。米国の大手小売店への流通も開始し、月商100万ドル(1.5億円)に達しているそうです。
Bloombergの記事では、PEのデルタ・エメラルド・ベンチャーズの2024年のレポートよると米国の大麻飲料の年間売上高は約1億8000万ドル(200億円)に達しているとのことです。
2-3. 国内で販売が始まるCBD・CBNドリンク
日本ではTHCは違法であるため、CBDがよく使用されています。
またCBNもCBDと同じく麻由来の成分で非常に人気です。CBDは気持ちを落ち着かせる鎮静作用がある一方で、 CBNは高揚感があります。
配合比率でCHILL、RELAX、UPLIFTなどの体感を調整できます。

国内でも、アサヒビールやサントリーはCBDを使用した飲料の特許出願の動きを見せています。
以下は既に販売されている商品の例です。清涼飲料水やアルコール飲料に添加されています。

3. 自社の取り組み
自社では「アルコール・オルタナティブ」という新しいリラクゼーション文化の創造に向けた取り組みを進めています。
ソーシャルな場を他人と楽しむ方法がアルコールだけではなく、多様化していくと予想しています。
3-1. リラクゼーション飲料の販売
飲酒に変わる新しい社交文化の創造を目指し、自社で開発したChilling High・ボタニカルレモネード(CBN35mg・CBD5mg)を販売しています。
時々「ノンアル飲み会」というテーマでイベントを開催しています。自社のリラクゼーションドリンクで、これまでにないリラックス体験を楽しんでいただけます。


3-2. 水溶性CBD・CBN原料の販売
CBDやCBNを活用した飲料を製造いただくための 水溶性CBD・CBN原料をオンラインで10gから販売しています。
飲料ブランドを販売されている方、飲食店やカフェを経営されている方、ご自宅での料理をよくされる方などにおすすめです。自家製でCBDやCBNレモネードを作る際のレシピも共有しています。
4. まとめ
自社はアルコール・オルタナティブ市場へ注目し、飲酒に変わる新しい社交文化の創造を目指して活動しております。
商品や原料を試してみたいという方、特に飲料・食品メーカー、飲食店、小売店などの方々と協働できればと思っております。ぜひお問合せを頂ければ幸いです。