約5分で国内・国外のカンナビス業界の最新ニュースが丸わかり。
8/24 ~ 8/31のホットな情報をお届けします!
1. アメリカで大麻の規制緩和を勧告!保健福祉省が4時20分に認める
「連邦法に基づいてマリファナをスケジュール I からスケジュール III に変更する」
米国保健福祉省(HHS)のザビエル・べセラ長官は、大麻の規制緩和について、EST(東部標準時)8月31日 午後4時20分に投稿しました。
米国保健福祉省(HHS)がアメリカの麻薬取締局(DEA)に対し、大麻をスケジュールIからスケジュールIIIに移行するよう勧告。
この勧告は、アメリカ全土における規制緩和の提案であることを意味します。
この報道に対する反発が相つぎましたが、ザビエル・ベセラ長官は大麻文化の「象徴的なタイミング」でそれに関する投稿をシェアしました。そのタイミングとは、「4時20分」であり、「420」はCBDの抽出元である大麻を指す用語です。
「スケジュール」とは、乱用や依存症のリスクに応じて、規制薬物を5段階に分類したものです。
スケジュール I | 管理物質 | 現在米国で医療用途として認められておらず、医学的監督下での使用には安全性が認められておらず、乱用の可能性が高い。 | ヘロイン、リセルグ酸ジエチルアミド (LSD)、マリファナ (大麻)、ペヨーテ、メタクアロン etc |
スケジュール II | 規制物質 | 乱用の可能性が高く、重度の精神的または身体的依存につながる可能性がある。 | ヒドロモルホン、メタドン、メペリジン、オキシコドン、フェンタニル、モルヒネ、アヘン、コデイン、ヒドロコドン |
スケジュール III | 規制物質 | スケジュール I / II の物質よりも乱用の可能性が低く、乱用は中程度または軽度の身体的依存、または高度の心理的依存につながる可能性がある。 | 投与単位あたり 90 ミリグラム以下のコデインを含む製品、ブプレノルフィン |
スケジュール IV | 規制物質 | スケジュール III の物質と比較して乱用の可能性が低い。 | アルプラゾラム、カリソプロドール、クロナゼパム、クロラゼプ酸、ジアゼパム、ロラゼパム、ミダゾラム、テマゼパム、トリアゾラム |
スケジュール V | 規制物質 | スケジュール IV にリストされている物質と比較して乱用の可能性が低く、主に限られた量の特定の麻薬を含む製剤で構成されている。 | 100 ミリリットルまたは 100 グラムあたり 200 ミリグラム以下のコデインを含む咳止め製剤、エゾガビン |
上記の表を見てわかる通り、現在、大麻は「スケジュール1」(ヘロインや幻覚剤など)に分類されていますが、この度米国保健福祉省は、身体的に依存症になるリスクが軽・中程度の「スケジュール3」に2段階引き下げるよう求めました。
このスケジュールの変更が承認されれば、以下の4つのことが可能になります。
-
医療用大麻の使用の拡大
-
大麻産業における銀行取引がより自由になる
-
連邦レベルでの大麻完全合法化に近づく
- 連邦レベルでの課税からの解放
これは歴史的な進展であり、アメリカの最高保健機関が「大麻」を乱用の可能性が高い薬物とはもはや考えていないことを意味するのです。
昨年10月のジョー・バイデン大統領の指示に基づき、米国保健福祉省(HHS)は現在、大麻は規制物質法(CSA)のスケジュールの見直しの必要性について、麻薬取締局(DEA)に伝えています。
しかしこの勧告には拘束力はなく、麻薬取締局(DEA)に最終決定権があるのが事実です。
また、スケジュールIIIの下では、引き続き連邦政府によって禁止されることにも注意が必要となります。
ですが、科学的分析と大麻改革に対する政治的支持の高まりが、麻薬取締局(DEA)に影響を与えて変更を加える可能性は十分にあると言えるでしょう。
議会指導者の中にはこの動きを称賛する人もいるが、それだけでは不十分だと言う人もいます。
出典③:Dept. of Health and Human Services Calls On DEA to Reclassify Cannabis as Schedule III|high times
出典④:アメリカ厚生省、大麻の規制緩和を提言 連邦レベルの合法化へ一歩|毎日新聞
出典⑤:米保健省、大麻の規制緩和を勧告 麻薬取締局が審査へ|BBC
出典⑥:年に1度の盛大なチルイベント開催【4/20 世界大麻デー】|tokyo mooon
2. イタリアでCBDオイルが「麻薬」にカテゴリされる?
「イタリアで、CBDが中毒性薬物リストに追加される」
このような内容の法令が、2023年8月21に発表されました。
この法令が発効すれば、イタリアは欧州で経口CBD製剤を麻薬として認める唯一の国となる可能性があるのです。
2020年10月1日に発行された、国の医薬品リストにCBDを追加し、基本的にすべての用途におけるCBDを麻薬とみなすという「政令」ですが、同年10月末に突然キャンセルされたことでイタリアのCBD業界に大きな衝撃を与えました。
しかし、2023年8月21日、イタリア保健省は官報 (Gazzetta Ufficiale) に新しい政令を発表し、30日後の9月21日 に正式に発効することが決まり、内容は当初の政令の2020年からの停止を取り消すというものです。
この政令が発行されれば、CBDオイル / 他の抽出物の形でのカンナビジオールは、医師の処方後に限り、薬局で入手可能になります。
この法令は実際、イタリアで新たに承認された、CBD由来の医薬品「エピディオレックス」のためであり、その製造元であるGWファーマシューティカルズは、イタリアでの販売認可をすでに取得済みです。
イタリアの大麻産業団体 カナパ・サティバ・イタリア(CSI)は、「このまま発効した場合、この条項は、天然由来のCBDの麻抽出物の生産、加工、販売に携わるすべての企業に大きな影響を与えることは間違いない」と述べています。
CBDオイルは、規制されていない合成CBDで作られていない限り、小売から消える可能性があり、CBDを豊富に含む産業用麻の将来も不透明なようです。
このような状況を鑑みてか、欧州連合司法裁判(CJEU)は、EU加盟国におけるCBD由来の製品は薬物として扱われるべきではなく、自由に入手できるべきであるとの判決を下しました。
カナパ・サティバ・イタリア(CSI)のみならず、CBD業界・政界内からも多くの批判・反発があるのが現状ですが、
イタリアの大麻連盟「フェデルカナパ」も同様に、今後は「CBDの医療目的の使用に加え、法律で許可されているすべての使用について政府の保証を得るため、CBD企業と最も効果的な措置を模索する」というようなコメントを残しています。
同団体は続けて「商業禁止にも関わらず、政府は他のヨーロッパ諸国で生産されたCBD食品や化粧品がイタリアで自由に流通するのを阻止することはできず、損害を被るのは地元の生産者だけになる」と指摘しました。
この訴訟の最終決定はイタリアだけでなく、ヨーロッパのCBD市場全体にとっても重要となることでしょう。
イタリアの大麻産業は、現在、その将来と欧州規模の市場動向に影響を与える可能性のある大きな課題に直面しています。
出典①:L’huile CBD désormais classée comme un stupéfiant en Italie|NewsWeed
出典②:L’Italie classe les extraits de CBD comme stupéfiants|NewsWeed
出典③:Italy Adds CBD to the List of Intoxicating Drugs|Born2Invest
出典④:Italy’s CBD Industry Faces New Blow as Government Decrees CBD Oil as Narcotic Substance|BusinessOfCannabis
3. イギリスのCBD業界団体が「規制」を要求
「イギリスでCBDが規制されちゃうの!?」
タイトルを見て、上記のように考えてしまいそうになりますが、実際にはそうではありません。
英国のカンナビノイド産業協会(ACI)は、同国内務省がCBDの法的枠組みを導入するのに時間がかかりすぎると主張。
オンラインニュースメディアCannabis Health Newsによると、CBDは約10年前からイギリスの店舗で販売されていますが、業界にはまだ製品に含まれるTHCやCBDの量などの基本的な規制が存在しない。と述べています。
下記の3つの項目は、明確な規制が存在しないために起こる障壁です。
- 許可されていないイノベーションに知らず知らずのうちに投資してしまう危険がある
- 法的明確性の欠如により、金融庁が新規食品の認可を与えることができない
- CBD企業の運営が滞り、業界のイノベーションが妨げられる
知らず知らずのうちに違法扱いされてしまうのは、運営する側にとって恐ろしいことですよね。
2023年7月初頭、イギリスのジャージー島に本社を置くCBD会社ジャージー・ヘンプは、製品に微量の規制されたカンナビノイドが含まれていることが判明したため、内務省が同島政府に対し製品輸出を制限し、 閉鎖に追い込まれた事例があります。
※ ジャージー島外に大麻を輸出するには、1978 年薬物乱用法 (ジャージー) に基づいて許可が必要であり、出荷ごとに発行されます。さらに、規制薬物をイギリスに輸出するにはイギリス政府が定める輸入許可が必要です。
2023年8月28日に開始されたカンナビノイド産業協会(ACI)の、
#SaveOurCBD キャンペーンによると、同国内務省の明確さが欠如した対応は、上記の事例の通り企業が脆弱になり、消費者のCBDに対する信用問題に繋がります。
#SaveOurCBD の掲げるスローガンである、
「安全、安心、持続可能な業界をサポートするための法的明確化」
のように、イギリスのみならず、世界中のCBD業界のためにも、しっかりと成分ごとに明記された規制が制定されて欲しいですね。
出典①:United Kingdom CBD trade group calls for long-awaited regulations|MJBizDaily
出典②:UK Home Office urged to provide clarity for CBD industry|CannabisHealthNews
出典③:Jersey Hemp shut down after UK Home Office action|nutraingredients.europe
出典④:#SaveOurCBD|ACI
出典⑤:Jersey Hemp shuts over legality row with UK|BBC
4. フランスで話題!HHCの次世代代替品、VMACとは
「VMACって何?」「新しいカンナビノイドなの?」
「Various Mix Active Cannabinoids」の頭字語である VMAC は、HHC (ヒドロキシヘキサヒドロカンナビノール) の代替品として話題を呼んでいるカンナビノイドです。
フランスのCBD企業である Highbuy のクリエイティブな精神から生まれたブランドである「White Rabbit」 は、HHC が残した空白を埋めるためVMAC製品ラインを誕生させました。
※ HHCは日本では2022年3月17日〜、フランスでは2023年6月13日より違法となっています。
HHC とは異なり、VMAC は同様の規制上の制約がなく、また、合法的に同様の以下の3つの効果をもたらします。
- 多幸感: お祭りや友好的な集まりに適しており、HHC で感じられる感覚に似た多幸感の波を引き起こす
- リラクゼーション: 低用量の VMAC を使用すると深いリラクゼーション感が得られ、リラックスして過ごすのに最適
-
クリエイティビティ: クリエイティビティの急増への道が開かれ、未踏のクリエイティブな領域が感じられる
現在、フランスで展開されているVMAC製品には、
- Vape ペン
- VMAC リキッド
- 花
- ハッシュ
以上4つの製品があります。
tokyo mooonが販売するVapeタイプのような製品も販売されており、さらに花やハッシュも売られているので、様々な用途で使用できるのは嬉しいですよね。
HHCの効果を反映するように設計された VMAC。
カンナビノイドの「合法性」「品質」「教育」に重点を置いており、愛好家が安全性と品質に妥協することなく、求めている体験を味わえる製品にしているようです。
残念ながら、現在日本から購入することができませんが、
VMAC は「HHCが残した空白を埋める革新の灯台」であると言われているので、大麻業界必見の製品と言えるでしょう。
日本でも現在様々なカンナビノイドの規制がされているので、合法かつ安全なカンナビノイドが流通することを祈っています。
出典①:Le VMAC : Le substitut next-gen du HHC|NewsWeed
出典②:VMAC: The new generation of CBD|SMOK-IT
出典④:VMAC|Highbuy.fr
5. アメリカ ニューヨーク州で大麻の認可が完全停止
ニューヨーク州では、2014年に医療用大麻が、2021年に嗜好用大麻が合法化されました。
しかし、ニューヨーク州の条件付き成人向け小売薬局制度(CAURD)に対する「一時差し止め命令」が、2023年8月18日に発動されたことを受け、同州の大麻認可プロセスが完全に停止したのです。
この施行は、ニューヨーク州大麻管理委員会(CCB)と同州大麻管理局(OCM)が、4名の退役軍人から訴訟を起こされたことを受けて実施されたものです。
4人は不当に退職させられたとして、大麻管理局(OCM)によるライセンス手続きが、2021年3月に制定された内容に違反していると訴訟。
具体的には、OCMは障害のある退役軍人などよりも、ニューヨークで過去にマリファナで有罪判決を受けた人々を優先しているといった内容です。
当初、州最高裁判所のケビン・ブライアント判事は、州内での大麻小売ライセンスに一部の例外を認めていました。
一部の許可保有者にだけ許可するというブライアント氏の決定には反対意見があり、州当局は差し止め命令により、許可取得者がすべての要件を満たしているかどうか確認できなかったと明らかにしています。
その結果、ブライアント判事は現在、オープン予定だった小売店30社すべてに対する免除を拒否しています。差し止め命令は、まだ営業していない全ての小売業者に対して引き続き適用されるようです。
ブライアント判事はまた、他のライセンシーがすべての規則や規制を満たしていることを証明できれば、ケースバイケースで開設が許可される可能性があるとも述べました。
CAURDの申請者と法的監視人は、この最新の展開に対して怒りと不信感が入り混じった反応を示しているようです。
出典①:New York Brings Cannabis Licensing to Complete Halt|BusinessofCannabis
出典②:New York Cannabis Businesses Face Another Set Back As Injunction Granted|BusinessofCannabis
出典③:New York judge reverses, pauses all marijuana licensing in state|MJBizDailyz
出典④:アメリカ・ニューヨーク州の大麻合法化状況|tokyo mooon
6. 日本でTHCB THCVの規制!指定薬物部会の結果
「THCB と THCVが違法薬物になる!」
2023年8月31日に指定薬物として新たに2つの物質群を指定する省令が公布されました。
この省令は、2023年9月10日に施行されました。
上記の表の通り、この度規制された物質は、以下5つの物質です。
- THCV
- THCB
- THCH
- THCP
- THCjd
THCVやTHCB等の国内のカンナビス業界の中でも、注目されていたカンナビノイドが規制されたこともあり、話題となっております。
この度の規制は、特定の物質をピンポイントで規制する従来のメソッドと異なる「包括規制」となっており、同様の化学構造を持つ物質を包括的に規制する、といった新しい規制です。
精神活性作用のあった「THCB」の規制に対し、その効果が科学的に確認されていないと言われている「THCV」まで規制対象であるという点が、今回の包括規制の特徴とも言えるかもしれません。
発毛効果や禁煙効果、抗炎症作用など、様々な効果のあった「THCV」
リラックス効果や多幸感、睡眠補助など、様々な効果のあった「THCB」
これらのカンナビノイドが規制されることは、業界に大きな影響を与えています。
尚、規制は2023年9月10日より施行されております。
出典②:THCVとは?違法なの?ハイになれるって本当!?|tokyo mooon
出典③:THCBとは何か?違法なの?|tokyo mooon
7. 大塚製薬、カナダのサイケデリック企業を買収
8月31日、大塚製薬株式会社(以下、大塚製薬)は、カナダ トロントに本社を置く「マインドセット社(Mindset Pharma, Inc.)」を、約 8,000万カナダドル(約 86億円)で買収し、完全子会社化する契約を締結しました。
大塚製薬の米国子会社(Otsuka America, Inc)を通じて行われるこの本買収は、2023年度第4四半期中(10月〜12月)に完了すると予定されています。
マインドセット社とは、高い精神・神経疾患の治療に貢献するため、次世代の精神疾患治療薬の研究開発を専門とした、創薬型研究開発企業です。
この度の主な買収理由は、以下の3つとなります。
- (マインドセット社が開発している)セロトニン5-HT2Aアゴニストは、治療抵抗性うつやPTSD(心的外傷後ストレス障害)などの治療薬としての可能性が注目されているため
- 明確な医療ニーズが残る精神・神経疾患領域において大きなイノベーションとなるため
- 精神・神経疾患領域におけるリーディングカンパニーとして、本領域のポートフォリオ拡大するため
治療抵抗性うつや心的外傷後ストレス障害(PTSD)などの精神疾患向けの新薬候補をもつとされ、世界的にも注目されている「サイケデリックドラッグ(幻覚剤)」。
その世界市場は、2030年までに年間1兆5千万円近くまで成長すると予想されており、今後6年間に13.49%の複合年間成長率(CAGR)で拡大するとされています。
※ サイケデリック市場につきましては、こちらの記事をご覧ください。
世界中から注目が集まる中、日本の大手製薬会社である大塚製薬もサイケデリックの分野に着目してきました。
大塚製薬の代表取締役社長、井上眞氏はコメントで、
「大塚製薬は、最重点領域の一つに精神・神経領域をかかげ、様々な臨床的意義を持つ抗精神病薬などをグローバルに展開しています。このたびの買収により、マインドセット社が持つ新たな新規化合物が加わることで、精神疾患で悩む患者さんに対してさらなる貢献ができると期待しています」と述べています。
マインドセット社のCEOであるジェームズ・ランティエ(James Lanthier)氏はコメントで、
「このたびの大塚製薬との契約締結は、当社の価値を最大化するとともに、すべてのステークホルダーにとって素晴らしい成果となりました。大塚製薬は、私たちの資産と特許ポートフォリオの価値をさらに高めることで、患者さんの将来の利益に貢献できる理想的な立場にあると確信しています」と述べています。
今後も、大手の動向に注目が集まりそうです。
出典①:「マインドセット社」の買収について|大塚製薬
出典②:大塚製薬、カナダの同業を90億円で買収 向精神薬拡充|日本経済新聞
出典③:サイケデリックドラッグ市場、2029年までにグローバルで一兆円越え市場に|tokyo mooon