昨今、CBNを使用したベイプやエディブルなどが流行っています。
国内での利用実態について大変有益な調査がなされたこと、厳格化された大麻規制の中、CBN商品を製造販売するリスクを理解し、事業運営の参考にして頂ければと思い、記事を執筆しています。
1. CBNとは何か、人気の理由
CBN(カンナビノール)はヘンプに含まれる成分の一つで、主にTHC(テトラヒドロカンナビノール)が酸素、光に晒されたり、時間の影響を受けて変化して生成されます。長期間保存されたカンナビスなどは、THCからCBNが生成され、CBN含有量が高まると言われています。
ヘンプに含まれる量は数%しかないことからマイナーカンナビノイド、レアカンナビノイドとも呼ばれます。多くの場合Δ9-THCを前駆体として、劣化速度を早める処理を加えて製造されます。
CBNは脳や中枢神経に分布するCB1受容体のアゴニスト(作動薬)として作用します。CBD(カンナビジオール)はCB1受容体へアンタゴ二スト(拮抗薬)として作用するため、作用が異なります。
睡眠を助ける可能性のある鎮静作用を中心に、リラクゼーション(高揚感)、痛みの軽減、食欲増進、神経保護等の作用に関して研究が進んでいます。いくつかの研究では精神活性作用はTHCの約1/10であると言われています。
国内ではベイプや食品などで摂取され、睡眠やリラクゼーション効果が注目されています。CBDよりも分かりやすい体感があると答える人も多く、今ではCBDよりも人気に火がついている状態です。
2. CBN(カンナビノール)の利用実態調査
一般社団法人Green Zone Japanや株式会社VMCを中心に、2023年10月から11月にかけてCBN利用者にオンラインでのアンケートを実施しました。
日本語草稿:CBNは大麻規制の厳しい日本でどのように活用されているか?用途、医療効果、副作用と依存性
出典:カンナビノール(CBN)利用者の84.1%が「生活の質改善を実感」VapeMania®︎協力の最新調査結果
以下に要点を抜粋しています。
・CBNの使用目的
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健康目的が174名(33.8%)
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嗜好目的が136名(26.4%)
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どちらも当てはまるが199名(38.6%)
・健康目的での使用
CBNを使用する主な理由として、不眠症状の改善が最多であり、次いで不安、鬱、慢性痛の緩和を目的とした利用が多く確認されました。CBNは睡眠改善に特化した用途が多い中、他の目的はCBDやCBGと重複しています。
・嗜好目的での使用
気分を高めるために使用していると回答した人が23人(6.9%)、リラックスするために使用していると回答した人が305人(91.0%)、どちらともいえないと回答した人が7人(2.1%)でした。
・使用経験のあるCBN製品の形態
使用経験のあるCBN製品の形状(重複回答可能)については以下のとおりでした。
- 喫煙製品 79%
- 食品飲料 46.2%
- オイル 24.7%
- カプセル/錠剤 6.0%
- 塗布薬 4.7%
CBDに関しての類似調査では以下のとおりでした。
- 喫煙製品 62.5%
- オイル 59.6%
- 食品飲料 34.0%
このことからCBNの方が、嗜好品に近い形態で使用されている傾向があることがわかります。
・使用量
男性と女性の平均使用量に2倍近い差が見られ、男女の平均体重で補正しても、男性が1.5倍多く摂取する傾向が見られました。また嗜好目的と健康目的のグループ間に有意差は見られませんでしたが、使用量には2倍近い差があり、嗜好目的で大麻の代替としてCBNを使用する使用者は、精神活性効果を得るためにより大量のCBNを摂取する傾向があると推測されます。
・利用シーン
CBNを使用する最も一般的な状況は、頻度の高い順に、睡眠とリラックス(282人)、音楽鑑賞またはビデオ鑑賞(221人)、飲食(125人)、運動(75人)、屋外イベント(72人)、その他(21人)でした。
・有害事象
回答者のうち51人(9.9%)がCBNの使用に関連していると思われる症状を報告しました。有害事象に関する類似の調査では以下の通りでした。
- 大麻使用者 38.5%
- CBD使用者 7.4%
CBNの9.9%と比較すると、CBNの有害事象発生頻度は大麻以下、CBD以上と考えることができます。
重症度に関しては以下の通りで、入院または医療介入を必要としたユーザーはいませんでした。
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CBNの中止または減量を必要としない(58.8%)
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CBNの中止または減量により症状が急速に改善した(39.2%)
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CBNの中止に加えて病院への通院が必要である(0.2%)
・依存性(物質使用障害)
物質使用障害とは薬物やアルコールなどの物質の使用がやめられず、依存が生じている状態を指します。米国精神医学会から発行された「DSM-5」という精神的な健康状態を診断するための世界共通の基準を示すガイドラインに基づいて集計をしました。
27人(5.2%)の使用者が物質使用障害の可能性があることが判明しました。類似の調査では以下のとおりでした。
- 大麻(生涯経験者)8.3%
- 大麻(現在使用者)9.5%
- カフェイン(参考)8%
これらと比較しても、CBNの依存リスクが限定的であることを示唆しています。
3. CBNの規制リスクの考え方
一般社団法人Green Zone Japanの正高氏よりヒアリングした内容をまとめています。
CB1受容体のアゴニスト(作動薬)であり、精神活性作用のある成分について、厚労省は一般的に指定薬物として規制をする方針だそうです。
CBNはこれに該当しますが、THCVの規制事例を元に今後の規制リスクを評価していきます。
・THCVの規制事例
2023年9月にTHC関連の物質(THCV、THCB、THCP、THCjd等)が規制されました。指定薬物は基本骨格が同じ物質を一括して指定する「包括指定」されることがあり、精神活性作用の無いTHCVが指定されたことが問題になりました。
THCVは天然の大麻草に含まれるため、国内で流通していたブロードスペクトラムCBD製品に含有されていましたが、それらを含む商品が使用できなくなりました。その結果、てんかんの患者がCBDのアイソレートだけでは症状改善を得られなくなる事態に繋がりました。
そこで、公明党の秋野公造参議院議員や日本臨床カンナビノイド学会の太組一朗理事長を中心に、政府へのロビー活動を行いました。指定薬物ではあるものの「特定用途医薬品の指定制度」を用いて、てんかん症状改善の用途ではTHCVを含む製品の使用が、必要な書類を揃えた上で厚労省に届出をすることで、認められることになりました。
・厚労省の考え方の推察
上記の事例をふまえ、厚労省はてんかん症状改善の改善など、有効性の高い成分はなるべく規制をしないでおいた方が良いという視点を持っているそうです。
麻取部の資料に「CBD関連製品とは、CBD(カンナビジオール)、CBN(カンナビノール)又は CBG(カンナビゲロール)を含有する製品をいいます」という文言で、輸入方法が記載されていることから、現段階では輸入を認めており、業界を注視している状況かと思います。
その一方で、以前の合成カンナビノイドを含むグミの使用で緊急搬送があったように、容量をふまえずに使用する人が増え、健康被害が多発すると厚労省も動かざるを得なくなります。国民の安全を優先してCBNを規制し、THCVのように特例使用のみというルールになる可能性も出てきます。
・CBNの規制を防ぐための取り組み
CBNの規制を防ぐためには、顧客に正しい知識を発信し、健康被害を出さない範囲で、適切な使い方をしていただくことが重要です。
カンナビノイドの製品の1回あたりの摂取量を定めている国もありますが、今後国内でも大企業や業界団体を中心に、厚労省との対話を通して、消費者に安全に使用いただくための制度設計が進む可能性も見込まれます。
前述の「CBNの利用実態の調査」についても、客観性を持ってCBNの有効性や安全性を評価し、社会に普及する意義を示すための取り組みだと推察しております。
結論、CBNの規制の有無については、個々の事業者の取り組みによって、左右される部分が大きいと見ています。