CBN(カンナビノール)は睡眠改善やリラクゼーション効果が注目される麻由来のカンナビノイド原料の1つです。
本記事では、CBN原料とは何か、どのように製造・抽出されるのか、仕入れ方法や合法性まで、事業者・製造業者に役立つ情報をわかりやすく解説します。
弊社では事業者様向けにCBD、CBG、CBN、水溶性CBD、水溶性CBNの卸売を行っております。ご興味ある方はお気軽にお問い合わせください。
1. CBN(カンナビノール)とは何か

CBN(カンナビノール)はカンナビノイドと呼ばれる化合物の一つです。
主にTHC(テトラヒドロカンナビノール)が酸素、光に晒されたり、時間の影響を受けて変化した結果、生成されます。
長期間保存された大麻草には、THCからCBNが生成され、CBN含有量が高まると言われています。
CBNは1940年に大麻から初めて抽出されたカンナビノイドで、名前が似ているCBDとは異なり、THC(テトラヒドロカンナビノール)とより密接に関連しています。
CBNは大麻草に含まれる量が非常に少ないため、マイナーカンナビノイド、レアカンナビノイドとも呼ばれます。
CBNはTHCの分解産物であり、化学式はC21H26O2、モル質量は310.43 g/molです。不安定なTHC分子(化学式はC21H30O2)が、4つの水素原子を失うことでCBNを形成します。
2. CBNの作用機序・CBDやTHCとの違い
2-1. 作用する受容体の違い
人間の体には恒常性を保ち、健康を維持するためのエンドカンナビノイドシステムが身体に備わっており、カンナビノイド受容体にはCB1とCB2の2種類があります。

CBDはCB1受容体のアンタゴ二スト(拮抗薬)として作用し、抗不安やリラクゼーション、抗炎症、睡眠等への機能性が注目されています。
それに対し、CBNはCB1受容体のアゴ二スト(作動薬)として作用するため、鎮静や安眠、鎮痛、乾癬や皮膚炎など、皮膚を刺激する疾患の治療などに効果が見込まれます。
機能性を意識しながら原料を選ぶことが重要です。より詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
2-2. CB1受容体との結合・THCとの類似性
CBNで検索すると、「ハイ」や「キマる」といったキーワードもセットになっているのを見かけることがあります。ハイになる、キマるとは、精神活性作用(気分の向上、陶酔感や幸福感)を意味します。THCがハイになることで有名な成分です。
これはTHCが人体の脳や中枢神経に多く存在する「CB1」と呼ばれる受容体に結合する、アゴニスト(作動薬)として作用することが理由です。
CBNはTHCと同様にCB1受容体に作用します。ある論文によると、受容体への結合のしやすさを表す「結合親和性」の数値について、CBNはTHCの約1/4となっています。
以下の画像は論文より抜粋したもので、①がTHC、②がCBNの数値になります。

結合親和性と精神活性作用は比例関係にあるわけではなく、精神活性作用が1/4というわけではありません。
別の研究では、CBNはTHCの約1/10程度の精神活性作用があることが示唆されています。そのためCBNは少量の摂取であれば「ハイ」になることはないとされています。
しかし、大量にCBNを含む製品を摂取した方の中では「気分の高揚感があった」という声もあります。過剰摂取には気をつけたいところです。
参考:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC9658060/
3. CBNの効果・機能性
3-1. 鎮静作用・睡眠改善
CBNには強力な鎮静作用があるといわれています。
Steep Hill Labsの研究によると、CBNのわずか5mgは、ジアゼパム(別名バリウム)の10mgと同じくらい強力であることが示されています。
インディカ種はCBN含有量が高い傾向にあり、有名な鎮静効果であるカウチロック効果(大麻の使用により動けなくなる状態)を説明することができます。
近年の臨床試験では、CBNはメラトニン同様に「睡眠の障害度スコア」を減少させるという結果も出ています。
【出典】The ‘sleepy’ cannabinoid CBN might not actually be sedating
【出典】What Is CBN And What Does It Do?
3-2. 神経保護作用
CBNには神経保護作用があることも証明されています。
マウスを対象にした研究ですが、CBNの投与によりALS(筋萎縮性側索硬化症という神経の障害)の発症を遅らせることができたという研究があります。この研究では、CBNの投与により副作用なく、マウスの症状の進行を2週間以上遅らせることが分かりました。
この結果は、CBNがALSなどの神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、など)と戦う1つの武器であることを示していると言えます。
【出典】
Cannabinol delays symptom onset in SOD1 (G93A) transgenic mice without affecting survival
3-3. 骨の成長促進効果
CBNは骨組織の成長を促す可能性もあります。
これは、血液細胞に変化することが知られている間葉系細胞を、骨や他の種類の組織と同様に間接的に刺激することによって引き起こされます。
CBNは、骨折や骨折を治すための将来の治療法として有望と言えるかもしれません。
【出典】How CBN Can Improve Your Sleep, Mood, and Health
3-4. 抗菌作用
CBNには強い抗菌作用があることも挙げられます
ある研究では、CBNをはじめとするカンナビノイドがMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)と呼ばれる抗生物質が効きにくい菌に対して強力な活性を示したこと発表しています。
薬物耐性を持つ菌にも効果があるということは、通常の抗生物質では治癒できない細胞感染を防ぐことにも使用できる可能性を秘めています。
【出典】Antibacterial cannabinoids from Cannabis sativa: a structure-activity study
3-5. 乾癬(かんせん)に対しての効能
乾癬(かんせん)とは皮膚が赤くなり発疹を起こす病気のことです。
ある研究では、CBNを局所的に塗布することで乾癬の治療に役立ったという結果が出ています。この理由としては、CBNが皮膚細胞の過剰増殖を遅らせるという効果があるからだと考えられています。
さらには、マウスの研究ですが、CBNが関節炎などに対する抗炎症作用が認められることも挙げられています。
【出典】Cannabinol (CBN): What Is It And What Are Its Effects?
3-6. 食欲増進効果
CBNはCB1(中枢神経)に作用することで食欲を高めることが確認されています。THCのようにハイにならずに、食欲増進を必要とする人々、特にがん治療によって食欲が低下してしまった患者に対しては、この食欲促進作用が価値のある治療の選択肢となり得ます。
【出典】https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22543671/
3-7. 抗痙攣(けいれん)作用
CBNは神経細胞の過度な興奮を効果的に抑制し、筋肉の不随意な収縮を阻止する能力があります。この作用により、痙攣(けいれん)を軽減する効果が確認されており、痙攣を起こしやすい状態の患者に対して有益な治療方法となり得るでしょう。
【出典】https://shopgoldleaf.com/blogs/newsfeed/a-quick-guide-to-cannabinoids-cbn
4. CBNとテルペンの相乗効果
CBNは、テルペンと呼ばれる植物などに含まれる香り成分との相乗効果が比較的高いです。
大麻特有の独特な香りや苦味はこのテルペンによるもので、大麻草に200種類以上含有されていることが分かっています。テルペンはハーブのような香りを持っているため、香水やアロマオイルにも活用されています。
テルペンは、CBDやCBNと一緒に摂取することで、「相乗効果(アントラージュ効果)」を生み出すと考えられています。
実際に2019年のイスラエルの論文で、CBDに比べてCBNの方がテルペンとの相関関係が高かったことが示唆されています。より詳細にテルペンについて知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
5. CBNの安全性と副作用
臨床研究の結果、ふらつき、頭痛、逆に睡眠課題を感じた人もいるが、重篤ではなかったとの報告があります。
CBDに比べて臨床研究の事例は少なく、副作用に関しては情報が限られています。そのため、妊娠中や授乳中の人、および子供は、CBNの使用を避けることをおすすめします。
また、健康状態に関係なく、かかりつけのお医者さんがいる場合は特に、CBNを試す前に、専門家への事前相談をお勧めします。
6. 日本におけるCBN原料の合法性
CBNは日本では麻薬や指定薬物にも登録されておらず、CBDと同様に厚労省の指定する手続きを経ることで合法的に輸入販売が可能です。
しかし、薬物検査などを行う場合は注意が必要です。偽陽性の結果が出ることがあります。
ユタ大学健康科学センターの研究チームによると、3つの異なる尿サンプルで、CBD、CBC、CBGは偽陽性を示さなかったが、CBNはEmit II Plus検査で顕著な反応性を示したとのことです。この研究で使用した尿サンプルは1000 ng/mLですが、CBNの場合、これを1/10の100 ng/mLで検査した場合も偽陽性が検出されたことがあったようです。
そのため、患者の方は、もし薬物検査をすることになった場合は、CBNを使用していることを医師の方に共有することをおすすめします。
7. CBNの主な用途・製品例
CBNを含むオイル、ベイプ、グミ、バーム等が販売されていますが、以下の理由でCBNを含む商品が注目されていると考察しています。
①合法成分の中で唯一「CB1受容体」を活性、体感がTHCと類似
②合成カンナビノイドの規制強化、体感を求める顧客の新たな選択肢
③CBD市場の競争が激しくなり、差別化には+αの要素が必要に
主には睡眠改善や嗜好目的で使用されることが多いです。
商品化の摂取方法について解説していきます。摂取方法によって、吸収率、効果が出るまでの時間、効果の持続時間などが異なります。

・肺摂取
肺摂取とは、肺の毛細血管を通して吸収される方法です。ベイプが対応する商品としては当てはまります。直接肺に吸収させる摂取方法なので、数秒~10分程度でCBNの効果を感じることができます。効果が現れるまでの時間は2〜15分程度で、数時間経つと体感がおさまっていきます。
・経口摂取
こちらはグミやクッキーなどのエディブル(固形物)形式の商品が当てはまります。作用持続時間が6〜8時間と長く、作用発揮までの時間が30〜90分と長いことも特徴です。多量に摂取すると、後から体感が現れるため注意が必要です。
・舌下摂取
オイルなどを舌の裏側または頬粘膜(頬内側)から摂取する方法のことです。この方法で摂取すると、血流を介して循環系に移行し、胃腸で消化するよりも中枢神経系に比較的早く到達します。作用発揮までは15〜30分ほどで、作用の持続時間は、2〜4時間となっています。
・経皮摂取
皮膚を通して摂取する方法です。塗り商品であるバームなどが該当します。CBNが4時間~12時間をかけてゆっくりと着実に真皮を通過します。血流には到達せず皮膚に分布する神経に局所的に作用します。
詳細に関しては、以下の記事で解説しています。
CBDの摂取方法毎の摂取効率まとめ(バイオアベイラビリティ)
8. CBN原料の選び方・仕入れ時の注意点
原料は主にアメリカやヨーロッパなどの製造企業から輸入されますが、合法性の確認が必要です。
成分分析書(CoA)を確認の上、大麻草の栽培の規制に関する法律、麻向法、食品衛生法等の法規制に沿う規格を満たし、厚労省や食品検疫所での手続きを経て輸入された原料を使用することが必要です。
また事業をスムーズに立ち上げるためには適正な価格で購入することが重要です。
詳細に関しては、以下の記事で解説しています。
法規制に沿わない商品である場合、Amazonや楽天などのモールへの出品や小売店での取り扱いができないなどの場合もあるのでご注意ください。
弊社では、CBN、CBD、CBG、水溶性をはじめとするカンナビノイド原料・テルペンの卸売りや、これらのカンナビノイドを用いた食品や化粧品ブランド開発のOEMサポートを行っております。ぜひお気軽にお問い合わせください。