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8/16 ~ 8/23のホットな情報をお届けします!
1. ドイツが大麻合法化に向け、第一歩を踏み出す
8月16日、ドイツ政府は成人が娯楽用大麻の使用・栽培を合法化する法案に署名しました。
「消費」「犯罪」「闇市場」は拡大していると、ドイツの保健大臣 カール・ラウターバッハ氏はツイート。
続いて「(闇市場では)有毒な添加物が含まれていることもよくあります。このままではいけない。」と健康面への安全性を懸念しています。
この法案の狙いは、「明確な制限内で成人に大麻を販売できるようにすることで、闇市場を枯渇させ、犯罪と戦うこと」とラウターバッハ大臣は強調しました。
議会の承認後、合法になる主な項目は、以下の4つです。
・18歳以上の成人が、1日あたり25g 購入可能
・18歳以上の成人が、最大3株まで個人栽培可能
・18歳〜21歳の成人が、1ヶ月あたり30gまで購入可能 ※THC濃度に制限あり
・21歳以上の成人が、1ヶ月あたり50gまで購入可能
18歳〜20歳までの成人は、月ごとの購入量に加え、THC (成分) 濃度も制限されています。
成人は、非営利の「大麻ソーシャルクラブ」に加入することができ、会員になることで、大麻を受け取ることが可能です。
※ 現在のドイツには、様々な大麻ソーシャルクラブが存在します。
現存するクラブのリストは、こちらを参照ください。
つまり、全ての成人に法案が適応されるわけではなく、あくまで「大麻ソーシャルクラブに加入した成人のみ」大麻の購入及び流通を許可されることとなります。
以下の9つの項目は、この法案に係る制限や条件です。
・大麻ソーシャルクラブに加入した成人(会員)のみ購入可能
・18歳~21歳への配布を月当たり30グラム以下、THCは10%以下に制限
・乾燥大麻とハシシのみ流通可能
・大麻ソーシャルクラブの広告/スポンサーシップの禁止
・大麻ソーシャルクラブは、各都市 / 地区の場合、住民 6,000 人につき1つのみ設立できる
・各大麻ソーシャルクラブの会員数は、500名まで
・大麻ソーシャルクラブの許可は、最長7年間有効
・大麻ソーシャルクラブの施設は、学校、保育園、幼稚園から200メートル以内に設置してはいけない
・大麻ソーシャルクラブ関連施設から200メートル以内で、大麻を使用してはいけない
また「大麻ソーシャルクラブへの入会方法」として、重要な基本条件が設けられています。
・最低年齢は 18 歳
・会員はドイツに「住所または常居所」を持っていなければならない
・会員になれるのは 、1 つの大麻ソーシャルクラブのみ
当初は「大麻の完全合法化」を検討していたドイツ政府ですが、EU(欧州連合)の執行部門である欧州委員会の抵抗にあったため、試験的かつ段階的なアプローチを決定しました。
また、4年後に大麻合法化が社会にどのような影響を与えるのか、評価を行うことが義務づけられています。
ドイツ政府は、合法化への初期プロセスとして、少数の認可を受けた専門店で大麻の販売を許可する「局地的な試験プログラム」を開始する予定です。
このプログラムはオランダとスイスに倣い、大麻の商業販売が与える影響について、より多くの情報を収集するために施行されます。
スイスでは、嗜好用大麻の試験的販売(パイロット・プロジェクト)を、今年1月30日より正式に開始。詳しくは、こちらの記事をご参照ください。
出典: Germany Takes Step Toward Legalizing Marijuana|The New York Times
出典: German cabinet sends diluted recreational cannabis bill to Parliament|MJBizDaily
出典: スイス、嗜好用大麻販売、試験的に開始|tokyo mooon
2. CBD/デルタ8-THCの規制?ヘンプ由来の成分の見直し
「現在の製品 / 消費者の安全 / 公衆衛生に対するリスクが生じる可能性がある」
アメリカの大麻規制者協会(CANNRA)は、すべてのヘンプ由来のカンナビノイドの枠組みを作成するための勧告を提供する書簡を、8月18日、議員らに提出。
アメリカでは、2018年に農業法案に基づき「ヘンプ」が合法化され、ハイになる合成カンナビノイドを含む、デルタ9-THC以外の全てのヘンプ由来の成分が規制解除されました。
「デルタ8-THC」
医療用 / 嗜好用大麻が合法でないアメリカの州において、合法的に購入することができる半合成カンナビノイド。
※ デルタ8-THCは、一般的に知られているハイになる成分である「デルタ9-THC」とは異なる成分です。デルタ9-THCに比べると精神活性作用が約半分くらいと言われており、インディカ種の大麻を摂取した際の効果に類似した効果があると言われています。この成分には、ヘンプから抽出された「抽出物」と、CBD等のカンナビノイドから生成される「派生物(化合物)」の種類があります。
「THC-O アセテート」
日本でも今年の3月に規制された、ハイになる作用のある合成カンナビノイド。
アメリカ大麻規制当局は議会議員に対し、ヘンプ由来のCBD製品に対する連邦規則の欠如に関する調査で、上記2つのカンナビノイドを例に挙げ、「CBDのみならず他のカンナビノイドも考慮する必要がある」と言及しました。
さらにアメリカの大麻/麻貿易協会(ATACH)は、タブーを比喩し、アメリカで規制されていないヘンプ由来の半合成カンナビノイドや合成カンナビノイドの安全性の欠如を指摘したのです。
連邦麻薬取締局(DEA)は、カンナビノイドが合成的に製造されたものである場合は違法であるとみなしている。と主張。
しかし、合成カンナビノイドは限られた取り締まりの中、未だに繁栄しています。
一部の州では、デルタ8-THCのような合成カンナビノイドを禁止 / 制限するための措置を独自に採用していますが、それでも規制が間に合わず、市場に出回り続けているのが実態と言えるでしょう。
アメリカ麻薬取締局(DEA)の主張
「合成されたカンナビノイドは禁止」
∟合成されたデルタ8-THCは違法
∟DEAは、合成的に製造されたカンナビノイドが禁止された規制物質であることを明確にする新しい規則を提案する予定
アメリカヘンプ産業協会(HIA)の主張
「大麻草から抽出されたカンナビノイドは合法」
∟大麻から抽出されたデルタ8-THCは合法
∟合成でしか作れないTHC-Oとは違い、デルタ8-THCは自然に生成されるため、違法ではない。と主張
上記のように、アメリカ麻薬取締局(DEA)とヘンプ産業協会(HIA)の両者で、主張が異なる背景には、農業法に係る「麻薬取締局(DEA)規則」が関係しています。
しかし、使用上の安全を考慮するならば、DEAが提案しようとしている「新しい規則」を設け、規制物質を明確にすることが大切と言えるでしょう。
出典: THCとは何か・CBDとの違いは!?|tokyo mooon
出典: THCOとは何か?違法なの?|tokyo mooon
3.医療大麻合法のアメリカの州で、健康保険料が減少?
「医療大麻が合法化されている州が、健康保険料を引き下げている。」
新しい研究で、上記となる証拠が、
医学雑誌「The International Journal of Drug Policy(2023年9月号)」で、掲載される予定です。
この研究では、アメリカのオハイオ州ボーリンググリーン州立大学 / イリノイ州立大学 / イースタンミシガン大学の教授らが参加しており、全米保険委員協会が2010年から2021年に収集した米国の民間医療保険の財務データを調査しました。
MCL(医療用大麻法)の施行後、
・7年目: 年間保険料 1,662.7ドル(2023年8月24日時点 241,064.9円)
・8年目: 年間保険料 1,541.8ドル(2023年8月24日時点 223,600.32円)
・9年目: 年間保険料 1,625.8ドル(2023年8月24日時点 235,764.57円)
調査の結果、医療用大麻の合法化から7年経過するまで効果は現れませんが、
7年目以降、健康保険料は大幅に削減されることがわかりました。
「7年経過するまで効果が現れない」と記載しましたが、州が医療大麻法を施行する時期(初期 / 中期 / 後期)によって、年間保険料が異なることも指摘しています。
MCL(医療用大麻法)の施行後、
・〜2年目まで: 年間保険料 若干増加(初期 / 中期 / 後期)
・3年目〜9年目: 年間保険料 低下が続く(初期)
・3年目〜: 年間保険料 あまり影響がない(中期)
医療用大麻の合法化は、健康保険料の増加に繋がると主張する人もいますが、
この研究の研究者らは、証拠が不十分として否定しています。
尚、この研究は「医療用大麻のみ合法」の州に焦点を当てており、
医療用及び嗜好用大麻合法の州は含まれていないので、注意が必要です。
2023年4月、イギリスで発表された英国医療大麻登録に登録されている700人以上の慢性疼痛患者を分析した研究によると、
・大麻は、慢性疼痛患者の生活の質を改善
・大麻は、オピオイドの使用を減らすのに役立つ
上記、2点の結果が判明しています。
結果として、医療用大麻により、長期的な医療アプローチが可能になり、慢性疾患等にかかっていたコストを大幅に削減できたと言えるでしょう。
さらに医療大麻により、根本の生活の質が改善し、生活疾患等の他の疾患を防ぐことで、健康保険料の削減に繋がっているのかもしれません。
出典: Health Insurance Premiums Decrease in States With Legal Medical Cannabis|HIGH TIMES
出典: Medical cannabis laws lower individual market health insurance premiums|Science Direct
4. オハイオ州で大麻合法化?11月の投票で新提案が承認か
「11月のオハイオ州総選挙の住民投票にて、嗜好用大麻合法化が投票の対象となる。」
2016年より、すでに医療用大麻が合法化されているオハイオ州では、
2023年11月7日、嗜好用大麻の合法化に係る住民投票が行われる予定です。
この法案が可決されれば、以下5つの項目が許可されることとなります。
・21歳以上の成人を対象とした、娯楽目的での大麻使用
・2.5オンス(約 70g)までの大麻所持
・最大15gまでの濃縮大麻所持
・個人あたり最大6株 / 世帯あたり12株までの栽培(個人使用)
・医療用大麻販売店の、嗜好用大麻の先行販売
以下の7つの項目は、この法案に係る制限や条件です。
・大麻の販売 / 購入に対して、10%の消費税が課される
・嗜好用大麻市場を管轄する「大麻規制部門(A Division of Cannabis Control)」の設置
・規制当局は法案制定後9ヶ月以内に、既存の医療業務を行う資格のある申請者に対し「嗜好用大麻のライセンス」を発行
・社会的公平性(雇用)プログラムに参加している申請者を優先して、40件の栽培者ライセンス / 50件の小売業者ライセンスを発行
・最初の事業者が承認されてから、2年後に栽培者ライセンスの追加発行ができる
・規制当局は「大麻依存症サービス」を提供するため「精神保健・依存症サービス局」と協定を結ぶ必要がある
・この法案に係る内容の前科の取消については、明記されていない
この法案が可決されれば、オハイオ州は嗜好用大麻合法州「第24号」となります。
この法案では、上記のような制限や条件等がありますが、一般消費者にとっては、ほぼ全面的に大麻が合法化されると言ってもいいかもしれません。
出典: Ohio marijuana legalization initiative qualifies for November ballot|CNN Politics
5. ドーピングのリスクを回避!抗THCスプレーの効果とは
CBDは、医療・美容のみならず、スポーツのパフォーマンスが問われるアスリートにも適しており、オリンピック等の国際大会でも「禁止物質」から除外されていますが、
「摂取するCBD製品によって、薬物検査で陽性反応が出る可能性はゼロではない」
「CBDを大量に摂取すると、ドーピング検査で陽性反応が出る可能性がある」
上記のように、CBDには隠れたリスクが存在します。
「もしドーピング検査で陽性反応が出てしまったら...」
と、現状、完全に安心しきれないのも事実と言えるでしょう。
基本的にCBD自体は薬物検査の対象になっていませんが、CBDは大麻から抽出される成分のため、製造過程においてハイになる作用のある「THC」が含まれてしまう可能性があるのです。
日本で合法的に売られているCBD製品にもごく少量含まれており、製造過程で検出されない程度のTHC含有量(THCが0.2%未満)であっても、摂取量によってはドーピング検査で陽性反応が出てしまうケースもあると言われています。
フランスは、THC を 0.2% 以上含む製品の消費 / 所持が法律で禁止されている国です。
この法律の下、フランスではアスリートや職業上の義務があるCBDユーザー向けに、「抗THC作用」のあるスプレーが販売されています。
スプレーするだけでTHCを除去できる革新的な製品であり、製品を使用すればリスクを回避することが可能です。
抗THCスプレーの大まかな特徴として、以下4つのメリットがあります。
・即効性(散布 / 服用後5分以内に効果あり)
・持続性(唾液 約 1時間 / 皮膚 約 3時間 〜 6時間)
・添加物 / 防腐剤 化学香料 が含まれていない(製品によっては、アルコールフリーも)
・唾液検査で100%の除去成功率
「上記のメリットがあるとは言え、デメリットもあるんじゃ... ?」
「THCの不正使用を助長するんじゃないの?」
とお考えの方も少なくないと思います。
しかし、フランス及びヨーロッパでCBD関連製品を販売している「CBD Le Maraîcher」の抗THCスプレーは、「実際のTHCの使用を隠すのに効果的ではない」としており、
あくまで、極度に残留する微量のTHCを除去するためだけに有効。と注意喚起しています。
このスプレーには、2つの使用方法があります。
- 経口摂取の場合、口の中に 1〜2 回スプレーし、唾液を飲み込む。
- 経皮摂取の場合は、6〜10 mL のクリーナーを皮膚または手に取ります。その後、塗布した部分(顔、首、手など)を丁寧に拭く。
簡単に使えて持ち運びもできるのは、嬉しいですよね。
様々な国で様々な法規制がある中でこのような製品の誕生は、世界中のCBDユーザーにとって、とてもありがたい製品と言えるでしょう。
抗THCスプレー等のTHCクリーナーは、現在日本の市場では出回っていないようです。
アメリカのFerber Enterprises 社が販売する「Spray anti-THC」は、日本への海外発送に対応しています。
海外のメディアでも取り上げられる、話題の抗THCスプレー。
日本でも販売される日が来ることを密かに願っています。
出典: Spray anti-THC : lequel choisir ?|NEWSWEED
出典: KLEANER SPRAY ANTI-THC 30ML|CBD Le Maraîcher
出典: CBDは薬物検査に引っかかる?安全なCBD製品を選ぶコツをご紹介!|tokyo mooon
出典: オリンピック選手も使用!CBDはスポーツのパフォーマンスに効果的?|tokyo mooon