この記事は、CBC(カンナビクロメン)とは何かについて解説した記事です。
CBCの効果・機能性、CBDとの違い、作用機序や法規制についてなどを網羅的に説明しています。
また、CBD原料に関する詳しい情報をお探しの方は下記よりご覧ください。
1. CBC(カンナビクロメン)とは
CBCとは、日本語でカンナビクロメンのことを指します。
CBCは、50年以上も前に発見されたカンナビノイドで、THC・CBD・CBN・CBG・THCVとともに、医学界では著名な「BIG6カンナビノイド」に選ばれているカンナビノイドです。
BIG6カンナビノイドの詳細について知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
CBD・THC以外の主要カンナビノイド(BIG6)【原料卸売も実施中】
最初にCBCが発見されたのは1966年ですが、CBCに関する研究はあまりありませんでした。
これは、主にTHCが科学者および研究者の注目を集めていたからです。
しかし最近では、研究者たちの関心はCBDやCBCなどの向精神作用のないカンナビノイドの方にも移り始めています。
CBC・THC・CBDは、CBGA(カンナビゲロール酸)に由来し、これら3つのカンナビノイドは、同じ起源を持っています。
CBCは大麻に含まれる2番目に最も普及しているカンナビノイド化合物です。他のカンナビノイドと同様に、CBCは大麻のトリコームで起こる酵素過程を通じて生成されます。
この過程には、CBCAシンターゼという酵素によるカンナビゲロール酸(CBGA)からカンナビクロメン酸(CBCA)への変換が関わっています。THCAからTHCへの変換と同様、CBCAは加熱された際にCBCに変換されます。これは脱炭酸として知られるプロセスです。
CBCはTHCやCBDなどと同じ分子式C21H3002を持ちます。多くのカンナビノイドが同じ分子式を持ちますが、分子内の原子はやや異なる形で配置されています。これにより個々の分子が非常に異なる化学的性質を持ちます。
CBCにはTHCのような精神活性効果がありません。またCBCの一部の効能が他のカンナビノイドとは独立しているため、CBCがカンナビノイド受容体に影響するかどうかさえ完全に明らかにはなっていません。しかし、CBCはさまざまな関心を引く薬効を持ち、THCおよび他のカンナビノイドの効果を重要な形で調整する可能性があると考えられています。
2. CBC(カンナビクロメン)の効果・機能性
2-1. 癌細胞の増殖抑制痛み・炎症の緩和
カンナビクロメンは強力ながん治療薬となる可能性がありますが、その理由は、体内の天然エンドカンナビノイドであるアナンダミドが相互に作用するためだと言われています。そのアナンダミドは乳がんの細胞の成長を阻害しすることが研究で報告されています。CBCはまた、アナンダミドの取り込みを阻害し、アナンダミドが血流中に長く留まることを可能にするようです。
ネズミを用いた研究では、カンナビノイドが炎症と腫瘍の成長を抑制するのに有効である可能性が示されました。アナンダミドは、乳がんと闘うことが示されているので、CBCが癌や痛み、炎症の緩和に寄与するとされる未来は近いかもしれません。
2-2. 痛み・炎症の緩和
カンナビクロンが痛みや炎症に関わる受容体のTRPV1およびTRPA1に作用し、痛みと炎症の緩和効果があることが研究結果として報告されております。また、CBCは非ステロイド系抗炎症(NSAID)とは異なる方法で炎症に作用するため、副作用を心配する必要もありません!
ネズミを用いた実験では、THCとCBCを組み合わせて使用した場合、単体での摂取よりもそれぞれの成分が相互に作用することにより、より大きな炎症効果があることが報告されました。
【出典】
2-3. ニキビ治療
CBCはニキビ治療にも効果があるとされています。
ある研究で、CBCはニキビの強力な阻害剤であることが示されました。
CBCは強力な抗炎症作用を示し、ニキビの源となる皮脂腺での過剰な脂質生産を抑制したことが分かりました。 さらに、CBCは脂質生成を作り出すために必要なアラキドン酸(AA)のレベルを低下させました。
CBCが、巷で売られているニキビ洗顔の商品のように売られる日が来るかもしれません。
【出典】
2-4. うつ症状・不安の緩和
CBCはアントラージュ効果によりうつ病、不安、ストレスを抑制する効果があるとも言われています!
CBCは、THCやCBDと共に働くことで、抗うつ作用を発揮するとされています。
2-5. 抗菌作用
CBCには抗菌特性があるとされております。大腸菌やブドウ球菌などのいくつかの菌へ作用する可能性について研究結果より示唆されております。
様々な種類の真菌に対しても「軽度から中程度」の活動を示します、と報告されております。
2-6. 脳細胞への作用
2013年行われたネズミを用いた別の研究では、CBCは脳機能に必要不可欠な細胞である神経前駆細胞(NSPC)に影響を及ぼすことが報告されております。NSPCは、脳の恒常性を維持するための最も重要な細胞の内の一つであるアストログリア細胞に分化するため、アルツハイマー病などの神経疾患や脳病理などへの効果が期待できます。
ここまでCBCの主要な効果を6つ述べましたが、他にも、Original Farm や日本臨床カンナビノイド学会によると、偏頭痛や骨の成長促進や神経変性疾患への治療、下痢止めにも効果的であるとされているようです!
3. CBC(カンナビクロメン)の作用機序
カンナビノイドの科学より引用
CBC(カンナビクロメン)は、人体のエンドカンナビノイドシステム(ECS)と相互作用します。
ECSは、身体の恒常性(ホメオスタシス)を保つために機能するシステムのことを指します。エンドカンナビノイド(内因性カンナビノイド)がカンナビノイド受容体に結合することよって機能しています。
内因性カンナビノイドは、体内で生成されているカンナビノイドを指し、1988年にイスラエルの科学者、ラファエル・メコーラムによって発見されました。アナンダミド(AEA)と、2-AG(2-アラキドノイルグリセロール)の2種類が主に知られています。
一方、カンナビノイド受容体は、CB1とCB2に分かれ、CB1は脳や中枢神経等に、CB2は末梢神経や免疫細胞等に多く発現することがわかっています。
AEAがCB1受容体、2-AGがCB2受容体にそれぞれ結合することで、エンドカンナビノイドシステムが機能し、免疫・睡眠・食欲・体温・代謝・消化等の身体恒常性の維持に寄与しています。
CBCはCB2受容体、TRPA1受容体、CB1受容体、TRPV1受容体、TRPV3受容体、TRPV4受容体、 TRPM8受容体などの幅広い受容体に活性を示すことが多くの研究で示唆されています。
エンドカンナビノイドシステムについて詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
CBDの作用メカニズム、エンドカンナビノイドシステム(ECS)詳説
4. CBCの化学構造
CBCの化学式はC21H30O2、モル質量は314.469 g/molです。
CBCの前駆体であるCBCAが熱や光、または時間の経過によって脱炭酸化することで生成されます。
5. CBCとCBDの違い
CBCとCBDの主要な違いは、化学構造、体への影響・効果、およびその希少性にあります。
体への影響・効果の違いとしては、CBCは上述の通り、癌細胞の増殖抑制、痛み・炎症の緩和、抗菌作用、などに効果が見込まれます。
他方CBDは一般的に、ストレス&不安の解消、リラックス効果があると言われております。
両者とも中毒性がないことは共通しており、CBCの特徴的な部分としては、眠気を引き起し、睡眠の促進に効果がある点です。
ちなみに、原料について「CBDとCBCはどのように使い分ければ良いのか?」などの質問を頂きますが、期待する効果・効能によって原料を使い分けることをおすすめします。
上記の点を理解したうえで、原料を選定し商品開発をすることで、より良いプロダクト作りに繋がります。
6. CBCの安全性と副作用
CBCはまだ研究が進行中の段階であり、その安全性や効果について完全には理解されていませんが、現時点では副作用はほとんど報告されていないとされ、忍容性が高いと考えられています。
CBCは安全性が高く、CBDと同水準であると言われており、その作用機序の違いから多くの分野での利用が期待されています。
ただし、CBD等のカンナビノイドと同じく、異なる薬剤との相互作用が起こることがあるため、その点においては注意が必要です。高用量で摂取した場合に眠気を引き起こすことがあったり、食欲の増加または減少といった変化を及ぼすことがあります。
他にも箇条書きでまとめると、以下のような副作用を覚えることがあるでしょう。
- 口の乾き
- めまい
- 不安
- 吐き気
- 心拍数の変化
- 倦怠感
- 低血圧
7. CBCの希少性
CBCはレアカンナビノイドと呼ばれており、原料価格もCBDよりも高価格であることから、希少性も高いことで知られています。
大麻草の葉に含まれる含有量を見ても、CBDの0〜2.38%に対し、CBCは0〜0.07%となっており、CBDの1/34の量となっています。
大麻の種別や部位によって、この比率に多少変動あると考えられますが、CBCの方が含有量が少ないことは変わりません。
8. CBCの可能性
CBCは、米国での市場規模拡大や、医薬品への応用が期待できるといった点で大きな可能性を秘めていると考えられます。
8-1. 米国市場での急成長
米国の大手カンナビノイドサプライヤーのFloraWorksのレポートによると、2022年から2023年のCBCの成長率は476%以上と発表されており、その市場規模が急拡大しています。
CBDやCBNなどと混ぜることで、カンナビノイド特有の効果を増強させるCBCは、製品応用のニーズがあったものの大麻への含有量が極めて少ないと言った点が問題でした。
そんな中、企業がCBCを大規模製造できるようになってから研究や製品応用が進み、このような急成長に繋がりました。
今後もCBCの市場拡大は続くと考えられます。
8-2. 医薬品への応用が期待できる
ある研究によると、急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) という疾患に対し、吸入形式のCBCが、効果的な代替治療薬となる可能性があることが示唆されています。
急性呼吸窮迫症候群 (ARDS) は、外傷や、重度の肺炎により、炎症性細胞が活性化された結果、肺に水がたまり重度の呼吸不全が起こる疾患のことを指します。
発症後の死亡率は全体の30~58%と言われており、新規の治療法の開発が望まれています。
9. CBCは違法か?
2024年5月現在、違法ではなく、日本においては合法で利用することができます。
精神活性作用がない成分であるため今後規制されるリスクも少なく、原料として取り扱ったり、製品応用との相性は良いと言えるでしょう。
またCBC以外で、現時点でどのカンナビノイドが規制されているのか、網羅的に知りたい方は以下をご覧ください。
加えて、個別成分ごとに、規制状況や効果・機能性等を知りたい方は、以下の記事をご覧ください。
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